「マジックを見たい客はいない」 年商1.6億円を生んだ沖縄のマジック店、逆転の発想(5/5 ページ)
沖縄県のマジック店「マジックオーシャン」の年商は1.6億円に上る。「マジックを見たい客はいない」という逆転の発想と、それが生かされた店づくりを取材した。
新設ビルに拡大移転予定 広さは現在の約6倍に
マジックショーの質向上にも余念がない。確保した利益のうち、毎月約80万円を研修費に充当。マジシャンたちは全国の著名な同業店舗に加え、お笑いやミュージカル、テーマパークなどを視察し、マジックの技術だけでなく、接客や照明、音響といった要素を幅広く学び、その成果をマジックオーシャンの運営に還元している。
現在の来店客構成は、地元客45%、県外客40%、海外客15%。さまざまな取り組みが功を奏し、地元客、観光客ともに増加傾向が続く。2023年までは毎月1000〜2000人台で推移していたが、2024年以降は閑散期の2月を除き、安定して2000人を超えるように。2025年は繁忙期の7、8、12月に3000人台を記録した。
来店客の増加に伴い、求められる体験も多様化している。これまでは「大切な人と充実した時間を過ごしたい」というニーズが中心だったが、最近では「幅広いジャンルのマジックを見たい」「マジック以外のパフォーマンスも楽しみたい」といった、コンテンツそのものへの期待も高まっている実感があると、奥原氏は話す。
こうした変化を踏まえ、今後はコンテンツの幅をさらに広げていく考えだ。ハト出しや脱出イリュージョンといった遠目でも分かりやすい演目に加え、「マッチやコインなどの小道具を使った、至近距離で鑑賞できるものにも挑戦したいです」と奥原氏は話す。
さらに、催眠術や怪談、腹話術といったマジック以外のエンターテインメントも取り入れ、家族や恋人との時間にとどまらない、新たな楽しみ方の提供を目指す。
「現在、アメリカンビレッジ内で新たな商業施設の建設を進めています。そのビルの2フロアを使い、新店舗をオープンする予定です。広さは現在の約6倍。大小3つのステージを設け、それぞれ異なる体験を届けられればと考えています」
魔法のような驚きの裏側には、緻密に組み上げられた戦略がある。蓄積したノウハウを武器に、マジックオーシャンはどこまで進化していくのか。その歩みは、体験型エンタメの可能性を広げるかもしれない。
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