「マジックを見たい客はいない」 年商1.6億円を生んだ沖縄のマジック店、逆転の発想(4/5 ページ)
沖縄県のマジック店「マジックオーシャン」の年商は1.6億円に上る。「マジックを見たい客はいない」という逆転の発想と、それが生かされた店づくりを取材した。
リピーターを生む、つくりこまれた店内
店舗設計において奥原氏が最も重視しているのは、来店客の体験価値だ。「家族サービスがしたい」「恋人を喜ばせたい」という動機での来店客が多いことから、客自身が主役であるという考えはぶらさない。
「誰かと大事な話をしたいときにバーの店員さんがずっと話しかけてきたり、テーマパークのキャラクターが付きまとってきたりしたら、その時間を楽しめないですよね。適度な距離感がある方がお客さまの居心地の良さにつながり、その店を『また使いたい』と感じてもらえると思います」と話す。実際、来店客はリピーターが35%と、最も高い比率を占めている。
体験価値を高めるための具体的な工夫は、座席設計や案内の仕方、照明、店内BGMと店の随所に及ぶ。
座席設計については、来店する客層ごとの過ごし方を踏まえたつくりとした。例えば、リピーターには何度もリアクションを求められる前方席よりも、落ち着いて楽しめる後方席が適していると考え、ゆとりのある座席を用意した。また、友人を連れて再訪するケースも見据え、会話を楽しみやすい広めの空間も確保している。さらに、カップルでの来店を想定し、周囲の視線が気になりにくい陰になる席も設けた。
加えて、テーブルや座席の向きをあえて左右非対称にすることで、客同士の視線が交わりにくくなるようにした。各グループが適度な距離感とプライベートを保てるよう工夫している。
案内時にも、単に空席に通すのではなく、グループの雰囲気に応じた配置を徹底する。友人同士のグループでも、盛り上がりを重視する客にはステージに近い前方席を、会話を楽しみたい客には後方席を案内するなど、それぞれが心地よく過ごせるように配慮する。
照明設計にも同様の思想が反映されている。天井に設置した1つの照明で複数のテーブルを照らすのではなく、各テーブルの上部に個別の照明を設置。光が当たる範囲を限定することで陰影による緩やかな仕切りが生まれ、隣席との距離を自然に保ちながら、プライベート感を演出している。
さらに、隣席の会話が気にならないよう、店内BGMの音量も細かく調整している。光や音、テーブル配置といった要素を組み合わせることで、体験価値を高める空間をつくり出している。
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