「マジックを見たい客はいない」 年商1.6億円を生んだ沖縄のマジック店、逆転の発想(3/5 ページ)
沖縄県のマジック店「マジックオーシャン」の年商は1.6億円に上る。「マジックを見たい客はいない」という逆転の発想と、それが生かされた店づくりを取材した。
「マジックを見たい客はいない」
オープン当初、奥原氏はテナント管理者の立場で関わっていたが、マジシャンとしての経験と不動産業で培った知見を生かし、徐々にマジックオーシャンの運営方針の決定にも深く関わるようになった。2024年4月には沖縄マジックを立ち上げ、同年10月から前オーナーに代わって運営を担っている。
一般的なマジックの店舗はバーの業態が主流だが、レストラン業態として開業したのも奥原氏のアイデアだ。フードメニューはご飯ものからパスタ、ピザ、サラダなど幅広く、軽食にとどまらず、十分に食事が取れるラインアップにした。
こうした業態を選んだ背景には、ある仮説があった。
「日常生活の中で『今日、マジックを見たいな』と思う人はほとんどいないと思います」
マジック店の経営者が口にすると、その俯瞰(ふかん)した視点に多少の驚きがある言葉ではあるが、「確かに」と感じる人も多いのではないか。もともと関心のある人を除けば、日常的にマジック店へ足を運ぶ機会は多くない。
代わりに存在するのは「家族と楽しみたい」「デートで良い時間を過ごしたい」「友達と盛り上がりたい」といったニーズだと、奥原氏はみている。つまり、マジック自体の魅力を訴求するのではなく、「大切な人と充実した時間を過ごしたい」というニーズを実現する手段としてマジックを位置付けた。
「マジックショーを見に行こう、というよりも、ご飯を食べながらマジックも楽しめる。そんな距離感のお客さまに来てもらえる店がいいと思いました」
アメリカンビレッジは、幅広い客層が街歩きを楽しむエリアだ。マジックオーシャンも家族連れやカップルなど多様な属性の利用客がおり、地域特性を捉えた業態設計といえる。入場料は、子ども(5歳以上)2000円、大人(中学生以上)3000円と比較的手ごろに設定しつつ、飲食を組み合わせることで客単価5000円前後を実現している。
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