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「顔認証」はどこまで進むのか 700億枚データと日本の現在地:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
さまざまな企業の顔認証技術が、世界各地で広まっている。日本でも、大阪・関西万博で「手ぶら決済」が実現し、空港や駅でも導入が進んでいる。利便性が向上する一方、ルール整備が後手に回っており、社会的合意の形成が課題になっている。
顔認証市場は“群雄割拠”の状態
顔認証システムの市場規模は、2025年時点で約880億ドル(約14兆円)。年平均成長率は16%前後になっており、今後も右肩上がりの成長が見込まれている。
注目すべきは、この市場が特定の“巨人”に支配されているわけではないことだ。上位5社を合わせても、全体の約30%のシェアにとどまっており、世界各地でプレーヤーが乱立している。
NECやパナソニックといった日本勢のほか、Thales(タレス)やIDEMIA(アイデミア)などの欧州大手、顔認証システム「Face++」で知られるMegvii(メグビー)やSenseTime(センスタイム)などの中国テック企業、そしてクラウドAPI経由で静かに市場を押さえるAWS(Amazon Web Services)やMicrosoftまで、それぞれ異なる戦略で競い合っている。
実は、技術的に最も優れている企業の一つがNECだ。顔認証エンジン「NeoFace」は、米NIST(国立標準技術研究所)のベンチマークテストで世界1位を何度も獲得しており、エラー率はわずか0.07%だという。一方、中国のMegviiやSenseTimeは、精度よりもコスト競争力を武器にしていて、新興国市場で存在感を見せている。
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