「ホワイトカラー500人を建設職人へ」――ライザップ衝撃の発表 “結果にコミット”する「育成プログラム」とは(1/2 ページ)
RIZAPグループが建設事業に乗り出した。建設業界の人手不足を前に「従業員500人を建設職人にジョブチェンジさせる」と意気込む。この取り組みが課題解決の特効薬になるのか。
「2026年度中に500人のホワイトカラーを建設人材にシフトする」――トレーニングジムを運営するRIZAPグループ(東京都新宿区)が、前代未聞の方針を打ち出した。同社は4月14日、新たに建設事業に参入すると発表した。それに当たり、職人を自前で確保する狙いがある。
新事業では、小売業の店舗工事などを施工面で支援する。同社は、コンビニジム「chocoZAP」(チョコザップ)を4年弱で1900店舗以上に急拡大させた。スピード出店で培った施工ノウハウや建設アセットを生かす考えだ。
同社はchocoZAPの高速展開に際して「人手不足」に直面した。その対策としてジムトレーナーがジョブチェンジを成功させた例があり、その取り組みを拡大させることが建設業界の構造的課題に対する解決策になるとみている。
「従業員500人の転身」という数字は、グループ従業員約4600人の10%超に当たる。この目標を達成するための秘策が、RIZAP流のリスキリング手法だ。その中身とは。新事業を手掛けるRIZAP建設(東京都新宿区)の幕田純氏(代表取締役社長)を直撃した。
500人を建設職人へ “結果にコミット”する「育成プログラム」とは
chocoZAPをスタートさせた2022年当時、次々に出店したため施工作業を担う人手が足りなくなったという。
同じ頃、コロナ禍で自粛や「3密回避」が呼びかけられており、フィットネスジムの客足が遠のいていた。仕事が減ったジムトレーナーが、本業に代わって内装工事を手掛けたケースが建設人材へのジョブチェンジの第一号になった。
「チャレンジ精神にあふれた人が多くて、ジムトレーナーから内装工事のプロになったメンバーもいます。建設人材への転身をグループ内で公募しつつ、育成カリキュラムを整えて挑戦を支援します」(幕田氏)
「ジムトレーナーの育成メソッド」を建設人材に生かす
「不足する専門人材の育成」は今回が初めてではない。パーソナルトレーニングジム「RIZAP」の立ち上げ時にも経験していると幕田氏は話す。RIZAPの店舗数を増やす中で、ジムトレーナーの採用に苦戦した。労働市場におけるジムトレーナーの数が少ないため、自社で育てる方針を取ったという。
ジムトレーナーの育成カリキュラムや育成環境を整えて、スキルや知識がなくても「フィットネスに興味がある」「お客さまのために何かしたい」という人を採用。ジムトレーナーとして活躍できる人材を輩出した。
「私もジムトレーナー出身で、育成カリキュラムに自信を持っています。当社のやり方でプロのジムトレーナーを育成して、店舗展開や事業推進につなげた実績があります。このコンセプトを建設業に当てはめて、成功させられる可能性があります」(幕田氏)
「結果にコミット」するRIZAP流のリスキリング手法とは
RIZAP建設は、ジムトレーナーの育成メソッドを応用して、建設人材を育てる「リスキリングプラットフォーム」を整えた。プログラムは3ステップで構成されており、第一段階の「RIZAP建設育成アカデミー」は、外部の専門家による座学と実技を組み合わせた育成プログラムを実施する。
第二段階の「現場でのOJT」は、20社以上の協力会社と連携して、実際の施工現場で経験を積む。まずは内装工事のスキルを身に付けて、順次ステップアップする予定だ。
第三段階では、施工管理技士や電気工事士といった国家資格の取得を、費用や学習面でサポートする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ライザップ、建設業に参入 1年で1000店増「チョコザップ」モデルを横展開 勝算は?
フィットネスジムなどを運営するRIZAPグループが、建設事業に参入する。コンビニジム「chocoZAP」の出店ノウハウを生かすという。勝算はどこにあるのか。
ジム会費の滞納、どう取り立てる? 裁判でも泣き寝入りでもない、弁護士スタートアップが切り込む第3の選択肢
フィットネスジムの会費や保育園の利用料滞納、病院の医療費未払い──少額の未収金問題は、業種を問わず経営を悩ませている。この問題に、弁護士が立ち上げたスタートアップが切り込んでいる。
「物探しに2時間」が日常の塗装工場が、なぜDXベンダーに? 元SEの社長が示した中小企業の勝ち筋
工業塗装会社であるヒバラコーポレーションは、現場の課題解決から出発し、自社開発のシステムを外販するDXベンダーへと進化した。同社は、祖業とDXを両立しながら新たな収益源をどのように築いたのか。そのプロセスをひもとく。
溶接工が「6時間」でアプリを開発 静岡の町工場が「500万円」かけて生成AI教育をした、驚きの効果
静岡県掛川市の町工場コプレックは、社員13人に約500万円を投じ、生成AIの教育を通じて現場主導で業務アプリを開発する体制を構築した。背景にあるのは、AI時代における競争構造の変化だ。ホワイトカラーの仕事がAIに代替される中、ものづくりの現場では何が起きているのか。
「楽になった分は、サボっていいよ」 老舗建設社長が社員にアプリ3000個自作させたワケ
「現場が動かない」「プロジェクトが続かない」――。こうした理由で頓挫するDXは少なくない。後藤組はIT人材ゼロから4年で3000を超えるアプリを生み出し、全社的な改革を実現。取り組みは一過性で終わらず、成果へと結びついている。なぜ「全員DX」は機能したのか。その背景を探る。


