「野菜は0円」アプリはなぜ伸びるのか “ついつい買ってしまう仕組み”の正体:インタビュー劇場(不定期公演)(2/5 ページ)
「無料で野菜がもらえる」というカウシェのアプリは、なぜ伸びているのか。ゲーム要素と買い物が融合した仕組みの裏側には、離脱率や滞在時間といった“数字設計”があった。その成長ロジックを取材した。
カウシェファームの特徴
土肥: 買い物アプリ「カウシェ」のダウンロード数が増えていますよね。ここ数年の動きを見ると、2023年の夏を“底”に、ぐんぐん伸びている。そのころ何があったのかというと、アプリ内で「カウシェファーム」というゲームを始めましたよね。
ゲームを楽しむ人が増えると、ECサイトにどのような影響があるのか。2023年9月と2026年1月を比べると、GMV(流通取引総額)は30倍に、売上総利益は252倍になったそうで。そもそも、なぜカウシェファームを始めたのでしょうか?
門奈: 当社は2020年に創業して、シェア買い(共同購入)を軸にしたECサイトを運営していました。ただ、利用者数が思ったように伸びなくて。利用者からは「誰かを誘うのが面倒」「断られると気まずい」「欲しいタイミングが合わない」といった声があって、苦戦していました。
このままではいけないと考え、7つの打ち手を用意しました。まずカウシェファームを始めたところ、それが利用者に支持されて、ダウンロード数や売り上げの拡大につながりました。
土肥: シェア買いは、新規会員の獲得には強いかもしれませんが、成長していくには口コミに頼らざるを得ない。紹介が止まってしまうと、伸びも鈍ってしまうので、一人でも買いたくなるECに変化する必要があったわけですね。
カウシェファームの特徴は、野菜に水をやって成長を見守るだけというシンプルな点です。一見すると、ゲームとして楽しむだけのようですが、続けていくうちに毎日のようにアプリを開く習慣が生まれる。ECサイトの運営側にとっては、新規ユーザーを増やすことだけでなく、既存ユーザーにどれだけ継続して使ってもらえるかも重要なポイントですよね。
では、このように日常的にアプリを使う人が増える中で、実際にはどのような人たちが、どのくらい買い物をしているのでしょうか?
門奈: 全国的に見て地域の偏りはなく、主婦層を中心に利用していただいています。社内では“宮崎さん”というペルソナを設定していて、年齢は52歳。夫と娘の3人暮らしで、世帯年収は550万円。よく使うアプリは、TikTok、Netflix、ポイント系など。娘は大学生なので、時間やお金に少し余裕が出てきた生活をイメージしています。
では、実際にどのように使っている人が多いのか。アプリの滞在時間は1日平均38分で、買い物は月平均4回。ちなみに、この38分という数字はどの程度なのか。他のアプリと比較すると、LINEやInstagramとほぼ同じ。一般的なECサイトの利用は5分ほどなので、カウシェの特徴は「滞在時間が長い」点にあるのではないでしょうか。
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