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「野菜は0円」アプリはなぜ伸びるのか “ついつい買ってしまう仕組み”の正体インタビュー劇場(不定期公演)(4/5 ページ)

「無料で野菜がもらえる」というカウシェのアプリは、なぜ伸びているのか。ゲーム要素と買い物が融合した仕組みの裏側には、離脱率や滞在時間といった“数字設計”があった。その成長ロジックを取材した。

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離脱率を改善

土肥: ECサイトの運営会社って、売れているかどうかだけでなく、さまざまな数字に注目していますよね。集客数、購買率、客単価、継続率など。カウシェの場合、どの数字に注目していますか?


カウシェファーム(左)とカウシェのECサイト(右)

門奈: 先ほどご紹介したように、シェア買いとして始めたものの、売り上げが伸び悩んでいました。どうすればアプリに来てもらえるのか、どうすれば買ってもらえるのか。そうしたことを考えていたとき、「Carrying Capacity」(キャリングキャパシティ)という概念に出会いました。

土肥: 観光地の話でいえば、その土地の自然を壊さないために、観光客の適正な人数を算出して、一定の水準を維持するという考え方ですよね。

門奈: カウシェの場合、1日にどれだけの人が入ってきて、どれだけの人が離れていくか。そのバランスによって、サービスの伸びしろや頭打ちの水準が決まるという考え方です。つまり、「新しく増える人数」と「離れていく人数」の関係で、サービスの規模が決まっていく。

 例えば、1日に100人が流入して、1%が離脱してしまうと、99人が残りますよね。翌日も100人が入ってきて、1%が離脱するとどうなるでしょうか?

土肥: うーん、99+100-1=198人ですかね。いや、ちょっと待って。初日に残った99人からも1%が離脱することになるので、(99-1)+(100-1)=197人でしょうか? (より正確に書けば、99×0.99+100×0.99=197.01人)

門奈: 正解。翌日は2人が離脱するので、197人ですね。こうして計算していくと、このサービスの利用者数がどのように推移するかが分かるんですよね。

 離脱率を1%改善すると聞いても、小さな変化に思えるかもしれません。ですが、実際にはその効果はかなり大きいんですよね。なぜなら、利用者が離れにくくなるだけで、長い目で見るとサービスに残る人が増えるから。

 この考え方を意識するようになってから、経営の見え方が変わりました。利用者が離れにくくなる工夫や、買いやすくする工夫を少し加えるだけで、その効果は時間とともに積み重なっていく。結果として、将来の利用者数や売り上げに大きな差となって表れると分かったのです。


キャリングキャパシティの具体的な試算イメージ

土肥: バケツに水を注ぎ続けるようなもので、穴(離脱率)が大きいと、入ってくる量と出ていく量が釣り合ってしまう。その結果、いくら増やしても、最終的には一定の水位に落ち着く。つまり、離脱率が高い限り、全体の規模はある水準で止まってしまうということですね。

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