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無視されがちなシニア社員の「メンタル不調」 再雇用したベテランを戦力化するには? 社労士が解説(3/3 ページ)

ゴールディンウィークも終わったこの時期、新卒社員がメンタル不調を訴え、対応に悩んでいる企業の担当者もいるでしょう。ですが、配慮すべきは新入社員だけではありません。4月から再雇用しているシニア社員に対しても注意が必要です。

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シニア社員の「モチベーション回復」のためにすべきこととは?

 再雇用シニア社員は、通常の有期契約社員と異なり、契約期間が満了した際に更新せず、雇用契約を終わらせることが難しいのが現状です。高齢者雇用安定法により、企業は希望する労働者に対して65歳まで雇用する義務があるからです。解雇に相当する理由がない限り、65歳までは契約を終了できません。

 よどんだ雰囲気を発している無気力な社員がいれば、他の社員に悪影響を与えます。したがって、シニア再雇用社員のモチベーションを上げるとともに、戦力化することが各企業に課せられた課題といえるでしょう。


シニア再雇用社員のモチベーションを上げ、戦力化する必要がある(出所:ゲッティイメージズ)

 シニア再雇用社員のモチベーションをアップさせるためには、処遇の見直しが必要です。再雇用と同時に一律に給与を下げるのではなく、その人が担当する業務と能力に応じて、給与を決めていく仕組みに変えていくのが望ましいです。

 また雇用契約の更新時には、評価制度と連携して給与を変更する仕組みを作りましょう。原則として理由がない給与の引き下げは、労働条件の不利益変更とみなされますが、公正な評価制度と連動させれば合法となります。

 戦力化をするためには、リスキリングも必要です。日本の大手企業では、管理職となると部下の管理や他部門との調整が主体となり、1日のスケジュールは会議で埋め尽くされ、実務から遠ざかってしまう社員もいます。PCスキルや営業能力がさび付いたまま定年となり、管理職から外れ一担当社員となると、社内でお荷物となってしまう恐れがあります。

 定年後、役員に昇格して経営に携われる人は一握りです。大半は部長であれ課長であれ、定年再雇用後には一担当社員として与えられた実務を担うことになります。こうした状況を見据え、50代のうちから実務についての再教育も実施した方がよいでしょう。

「武勇伝」は必ずしも「悪」ではない

 今まで説明した内容について、すでに導入している企業もあるかと思われます。加えて個人的には、シニア社員に過去の成功や失敗の体験を語ってもらう場を設けるのも効果的だと考えています。

 AIツールの導入により、専門知識は一瞬にして手に入りますが、関係各署との調整のプロセスやノウハウまでは提示してくれません。

 現業系の職場では、長年勤めあげた職人の経験が重宝されています。事務系の職場であっても、プロジェクトを完遂させるためには書類作成だけでなく、関係各所との交渉が不可欠です。

 昨今、ベテラン社員が成功体験を語るのは「武勇伝」とみなされ敬遠される傾向がありますが、過去の経緯を知ることにより、未来のプロジェクトに役立つこともあります。同時に経験が会社に役立つことを認識できれば、再雇用シニア社員のモチベーション向上につながるでしょう。

著者プロフィール

佐藤敦規(さとう あつのり)

社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。


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