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「親の名前」を忘れていた高齢者が語り出した――AI内臓「昭和の青春ラジオ」が介護現場を変えている(2/5 ページ)

生成AIを使ったラジオが、介護現場で導入されようとしている。懐かしい曲や当時のニュースを流すことで、介護施設利用者の記憶を呼び覚ますことができているが、今後浸透する可能性はあるのか?

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青春時代を呼び覚ますラジオ

 RADIO TIME MACHINEの外観は、1950〜60年代の据え置き型ラジオを思わせる形をしている。ラジオとの違いは、液晶画面の表示が周波数ではなく西暦であることだ。ダイヤルを回すと、1950〜2025年の間を1年刻みで針が動く。年を選ぶと、その年の今日と同じ月日に起きたニュースと当時のヒット曲が流れ出す。


選べるのは1950〜2025年(筆者撮影)

 この商品には最新の生成AIが組み込まれている。ベースとなるのは、Wikipediaに掲載された過去の出来事をもとに、事前に作り込まれた独自のニューストピックリストだ。これを、文章生成AIが当時のラジオ番組風の原稿に仕立てる。

 原稿を読み上げるのは、30人以上の開発関係者の声を録音して構築したAIボイスだ。各年代のラジオの話し方、抑揚、語りのテンポ、当時のラジオ特有のノイズまで再現することで、時代感のある音声を生成している。近接した日に同じ年を選んでも、AIキャスターの感想や言い回しが毎回変わるため、利用者が同じ放送を繰り返し聞いている感覚にならないのが特徴だ。ニュースの合間には版権元から個別に許諾を得た当時のヒット曲が流れ、約20分のコンテンツがループする。


生成AIを活用して懐かしさを演出(出典:RADIO TIME MACHINEの公式Webサイト)

 このように、各年代のラジオの雰囲気を感じられるRADIO TIME MACHINEだが、なぜ1950年が起点なのか。本プロジェクトを率いるTBWA HAKUHODOシニアクリエイティブ・ディレクターの鈴木賢史郎氏は「介護施設の利用者は80〜90歳代が多い。彼らが結婚するちょっと前、青春時代の思い出を呼び覚ますために1950年に設定している」と説明する。

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