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「履くだけで疲れにくくなる」は本当か 急拡大する“リカバリーシューズ”の各社戦略(4/4 ページ)

「リカバリーシューズ」の勢いが拡大している。パイオニア「ウーフォス」やリカバリーウェアの「テンシャル」は、リカバリーサンダルの売り上げが右肩上がりに伸びている。老舗靴ブランドの「マドラス」では、独自のリカバリーインソールが好調だ。各社の戦略を取材したところ……。

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訪日外国人にも人気 「マドラス」独自インソール

 100年以上にわたって靴づくりを担ってきたマドラスは、「リカバリーシューズ」に舵(かじ)を切ったところだ。創業は1921年で、1994年に全世界のマドラス商標権をイタリアのマドラス社より譲り受けた。イタリアの靴づくりの伝統を踏襲しつつ、日本人が求める履き心地と機能性、デザインを追求してきた企業だ。


取材に応じたマドラスの岩田達七社長(筆者撮影)

 同社では、超柔軟ゲル素材の専門メーカー・タナック(岐阜市)と協業して、医療用のクリスタルゲルを使用した「リカバリーmetaインソール」(1万3200円〜)を2023年2月に発売した。

 土踏まず部分の盛り上がった形状が、歩行中の足裏を指圧のように刺激し、歩くたびに血行を促進。従来のインソールと比べて、足の血行促進率は120%になるそうだ。また、高伸張性と高反発弾性を持つ素材が足裏にかかる圧を分散するなどして、足への負担を軽減できるという。

 同社は長らく「紳士靴」をメインにしてきたが、同インソールの発売後は、子どもを除く幅広い男女へターゲットを広げた。


医療用のクリスタルゲル(左)を使って、血行促進効果を得られるインソールを開発(マドラス提供)

 「開発に1年以上を費やし、足が触れる場所によって硬度を変えるなどの工夫を取り入れ、特許も取得しました。現在の指圧の基盤を築き世に広めた浪越徳治郎さんの4代目継承者である浪越友哉さんにも、指圧効果のお墨付きをいただきました」(マドラス 岩田社長)

 開発後、応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」で発売すると、想定を超える300万円以上が集まった。そこで、マドラス銀座店を「リカバリーmetaインソールのコンセプトショップ」として、2024年9月にリニューアルオープンした。

 「オープン直後は『metaインソール』として売り出していたのですが、リカバリーウェアの盛り上がりを受けて、『リカバリー』という言葉を取り入れたところ、大きなインパクトがありました。立地柄、同店の顧客は半分以上が訪日外国人で、旅行中に立ち寄って有名スニーカーから当店のインソールを搭載した靴に履き替える人も多くいます」

 銀座店では、リニューアル後のインバウンド売り上げが前年比3倍超となった。海外向けのインフルエンサー施策を強化し、「たくさん歩いても疲れにくい靴がほしい」という旅行客の需要に沿うようアプローチした。高機能インソールを搭載した靴は単価3万円前後と高価だが、スニーカーや革靴だけでなく、ヒールの高い靴も売れ行きがいいそうだ。


ヒールのある靴も売れ行きが良く、岩田社長は期待をにじませた(筆者撮影)

 「7センチヒールの靴でも歩きやすいとして、40〜50代の女性を中心に人気です。しばらく履くと他の靴を履けないほど気に入る人もいて、口コミで高い評価をいただいています。婦人靴は特に伸びしろがあると考えています」

 マドラスでは、セカンドラインの「MODELLO(モデロ)」と「madras Walk(マドラスウォーク)」にも、独自のシリコンで開発した、metaインソールより安価な「リカバリーインソール」の搭載を決定。スニーカーが約1万5000円と買いやすい価格帯にして、新規顧客の獲得を狙う。来年以降は、海外展開も本格化する考えだ。

著者プロフィール:小林香織

 1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年から約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月からは東京拠点。

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