連載
ペンタブ大手ワコム、社長が娘のために会社を“私物化”? 投資ファンドの指摘に反論も、残る疑問(2/5 ページ)
ワコムがアクティビストファンドのAVIから、社長の振る舞いについての厳しい指摘を受けている。「法的に問題ない」は、果たして通用するのか。
娘へのダンススペース供与疑惑
AVIの主張のうち、市場で最も注目されているのが「ダンススペース問題」だ。AVIは、ワコム東京支社の一角の見晴らしの良い区画が、井出社長の娘のダンス練習・撮影スペースとして長年占有されていると主張している。AVI独自の試算によれば、同スペースの年間賃料は500万〜850万円相当だという。
社長の家族が、会社が借りる一等地のオフィスの一部をプライベートなスペースとして使う。これが現金ならば、確実に刑事・民事での問題になるだろう。オフィスの一部の私的利用となるとグレーゾーンではあるが、AVIはこの動きに対して、「株主の資産を私的用途に流用している」と厳しく指摘した。
これに対し、ワコムも反論している。指摘された区画は、同社が設立した一般社団法人「コネクテッド・インク・ビレッジ」との間で正式に施設利用許諾契約を締結し、適正な対価を支払っており、現在は利用していないと述べている。
確かに、法的には正当な取引だ。ただ、コネクテッド・インク・ビレッジをワコムが設立し、そこにワコム社長の娘がダンサーとして関わるという構造を、株主という第三者が「公正」と評価するかは別の話である。
年間数百万円相当という賃料は、時価総額1100億円規模の上場会社にとっては微々たるものだろう。それでも、株主が不信感を抱くのは、こうした構図に原因があると言えそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
ニトリHDの時価総額半減……「36期成長神話」が崩壊した、これだけの理由
36期連続成長を成し遂げたニトリが、苦境に陥っている。その原因は、似鳥会長の相場観にあるのかもしれない……。
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体
今もなお業績を伸ばしているはずのサンリオ株が、前年の最高値から半値近い水準まで売り込まれている。これはなぜだろうか。決算資料や各地の市場動向を詳細に読み解けば、株式市場の評価とは乖離した実態が浮き彫りになる。
「あの時気付いていれば……」 モンスター社員を面接で見抜く、たった一つの重要質問
彼らは「嘘をついている」わけではない。ゆがんだレンズを通して世界を見ているため、彼らにとって「正しいこと=周囲が悪であること」という構図は、疑いようのない真実として映っているのだ。
ジャングリアの「刀」累積損失62億円の衝撃 イマーシブ・フォート東京撤退で露呈した“死角”
USJを再建した森岡毅氏率いる「刀」が、かつてない危機に直面している。官報で判明した62億円の累積損失と、わずか2年での旗艦施設閉園。数学的マーケティングはなぜ「自社事業」で躓いたのか。その背景と沖縄事業への懸念を分析する。
