“火葬インフラ”はどうあるべきか 売却報道で注目される東京博善の公共性:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
広済堂ホールディングスが東京博善を米投資ファンドに売却する意向だと報じられた。東京博善は、東京23区の葬儀・火葬で高いシェアを持つ。市民の生活に影響するインフラ事業を誰がどう担うのか。議論すべき問題だ。
日本の葬送文化を支えてきた東京博善
まず、東京博善について簡単に説明したい。1921年に設立された同社は、日本の葬送文化を100年以上支えてきた。年間の火葬取扱件数は約7万件で、23区内のシェアは約70%とされる。(関連リンク)
桐ヶ谷、落合、代々幡など6つの斎場を運営し、安倍晋三元首相やアントニオ猪木元参院議員の荼毘(だび)も執り行われた。皇室と縁が深い斎場もある。
全国の火葬場の大半は公営だが、東京23区は事情が異なる。9施設のうち7施設が民営で、そのうち6施設を東京博善が運営している。背景には、戦前から都内で火葬場を運営してきた歴史的経緯がある。1948年の墓地や埋葬などに関する法律(墓地埋葬法)施行時に公営化すべきだったとの指摘もあるが、新たな火葬場の建設は住民の反対により極めて困難なため、同社が高いシェアを維持してきた。
そして昨今、東京博善を巡ってメディアで話題になっていた最大の論点は、火葬料金の大幅な値上げだ。2020年までは6万円を切っていたが、段階的に引き上げられ、2024年6月以降は9万円。他県では1万〜2万円程度の地域もある中、文春オンラインによれば「4年間で約52%の増額」という。(関連リンク)
この値上げと時期的に重なったのが、親会社である広済堂HDの株主構造の変化だ。
2019年には、米ベインキャピタルがTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、村上ファンドや麻生グループも交えた争奪戦の末、最終的にラオックス買収などで知られる、中国・上海出身の実業家、羅怡文(ら・いぶん)氏が関連会社を通じて株式を取得。2022年1月には持ち株比率を40%超に引き上げ、筆頭株主になった。羅氏は現在、広済堂HDの会長CEOと東京博善の役員を兼任する。
2025年6月には、鈴木庸介衆議院議員が「中国資本の影響による火葬・葬儀に関する質問主意書」を国会に提出。産経新聞も社説で取り上げ、東京23区の区長で構成する特別区長会も厚生労働相に法改正を要請した。(関連リンク)
東京博善側は「中国資本の影響は受けていない」と説明している。(関連リンク)また、外国資本による経営への影響や個人情報管理についても、適切に対応しているという。一方で、さまざまな意見が出ている。
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