なぜスシローはアジアへ、くら寿司は米国へ向かったのか 業績比較で見えた「異なる勝ち筋」(2/4 ページ)
海外展開を加速する回転ずし大手のスシローとくら寿司。しかし、そのアプローチは大きく異なります。アジアで店舗網を広げるスシローと、米国・台湾でブランドを磨くくら寿司。業績と戦略の両面から比較しました。
スシロー、くら寿司の直近5期の海外事業実績
直近5期のスシローおよびくら寿司の海外事業実績は、以下のように推移しています。
スシロー
直近5期の海外事業実績および全社比。※スシローはIFRSを採用しているため決算上は「売上収益」、くら寿司は日本基準のため「売上高」と表記している。本記事では比較のため、本文中ではいずれも「売上高」と表記する(画像:決算資料を基に筆者作成)
スシローの海外事業は、この5年間で大きく成長しました。
2021年9月期は新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業規制の影響を受け、営業損失12億800万円を計上しました。一方で、各国・地域での事業基盤の整備を進めており、EBITDA(利払いや税引きなどの影響を除いた損益)は黒字を維持しています。
2022年9月期以降は各国で営業規制の緩和が進み、業績は急速に回復しました。中国本土や台湾、シンガポールなどで新規出店を進めたことも追い風となり、売上高は382億9800万円、営業利益は21億9100万円へと改善しています。
その後も中国本土を中心に店舗網を拡大するとともに、マレーシアなどの東南アジアに進出。海外事業の売上高は2021年9月期の169億8300万円から2025年9月期には1314億2000万円へと約8倍に拡大し、営業利益も203億4000万円まで成長しました。
店舗数も59店舗から234店舗へ増加しており、海外売上高比率は7.1%から30.6%へ上昇しています。現在のスシローは、中国本土と東南アジアを成長エンジンとして、海外事業が全社業績をけん引する段階に入りつつあるといえるでしょう。
くら寿司
くら寿司の海外事業も、この5年間で着実に規模を拡大しています。
2021年10月期は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けました。米国では営業規制や営業時間短縮が続き、北米事業は経常損失10億8000万円を計上。台湾を中心とするアジア事業でも店内飲食の制限が実施され、経常損失1億3600万円となりました。その結果、海外事業全体では売上高160億3000万円、営業損失12億1600万円となっています。
その後は行動制限の緩和や新規出店の進展を背景に、北米・アジアともに売上高と店舗数が拡大しました。海外事業全体の売上高は2021年10月期の160億3000万円から2025年10月期には687億100万円へと4倍超に成長し、店舗数も72店舗から139店舗へ増加しています。
一方で、利益面はスシローと比べて安定感を欠いています。北米事業では新規出店の加速に伴う先行投資に加え、人件費や原材料費の上昇が収益を圧迫し、2024年10月期には再び赤字となりました。アジア事業は黒字を維持しているものの、利益水準には変動が見られます。
それでも、米国では店舗網の拡大に加え、「ビッくらポン!」やアニメ・キャラクターとのコラボレーションといった体験価値を武器に認知度を向上。台湾でも日本発の回転ずしブランドとして支持を広げています。
2025年10月期の海外売上高比率は28.0%となっており、くら寿司にとっても海外事業は成長を支える重要な柱になりつつあります。
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