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元CAがDX人材に ANA「機内食サービス」の紙文化を変革、デジタル知識ゼロから始めた「現場視点DX」(1/3 ページ)

「デジタルやITは得意な人の仕事」「私はデジタル人材じゃないから……」――そう考える人は少なくないだろう。しかし、DXの現場で求められるのは技術力やITスキルだけではない。全日本空輸で客室乗務員として働いてきた笠川さんは、デジタル変革室へ異動。現場で培った経験を武器に、アプリの開発に携わっている。

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 「文系学部の出身でデジタルに関する専門知識は全くない。社内のシステムやアプリを誰が作っているのかも、意識したことはありませんでした」

 笠川茜さんは、2017年に客室乗務員(CA)として全日本空輸(ANA)に入社した。現在はデジタル変革室に所属し、CAが機内で使用するアプリの開発など、社内のDX推進に携わっている。

 未経験の分野へキャリアを移すことに、ためらいを覚える人は多いだろう。とりわけ現場の最前線で長く働いてきた人が、デジタルやITといった専門領域に飛び込むとなれば、そのハードルは高く感じる。

 システムやツールを使う側から、作る側へ。元CAによる現場目線を武器にしたDXの軌跡に迫る。

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全日本空輸(ANA) デジタル変革室 企画推進部 業務イノベーションチーム 笠川茜さん(編集部撮影、以下同)

「一期一会」のチームワークに憧れ、ANAのCAへ

 笠川さんが所属するデジタル変革室で扱う領域は、基幹システムの刷新・運用から、DX推進、データ活用など幅広い。

 その中で笠川さんが所属する業務イノベーションチームが担うのは、グループ社員の働き方や業務プロセスの改善だ。施策の構想・立案から、導入支援まで、社内のデジタル活用の推進や文化の醸成にも取り組んでいる。

 笠川さんは、CAの働き方改善やCAが使うツールの企画・開発を主に担当している。

 ANAに入社したきっかけは、子どもが一人で飛行機に搭乗する際にサポートを受けられる同社の「ジュニアパイロット」という制度を体験したこと。「子どもの頃、長期休みには一人で飛行機に乗って祖父母の家に行っていました。その時、話しかけてくれたCAさんたちがとても優しくて。楽しい思い出として、今も心に残っています」と振り返る。

 憧れが具体的な志望へと変わったのは、就職活動の時だ。さまざまな職種を調べる中で、フライトごとに異なるメンバーとチームを組む仕事であることを知った。

 その日出会った人たちと瞬時にチームワークを築き、それを発揮しながらサービスを提供する――CAのそんな働き方に魅力を感じ、ANAに入社。入社後も、初対面の人と関係を構築しながら、搭乗客のニーズに応える働き方に、やりがいを感じていたという。

社内イベントで知った“作る側”の仕事

 そんな笠川さんが、なぜデジタルの世界へ移ったのか。もともとデジタル領域に強い関心があったわけではない。学生時代は文系の学部で学び、就職の際もデジタルに関連する業界や職種を意識することはなかった。

 同社ではCAに1人1台、機内業務で使うiPadを支給しており、笠川さんが業務でデジタルに触れる機会は、CA用に開発されたアプリやシステムなどをiPadで使用する程度だったという。

 転機となったのはコロナ禍。フライト数が激減し、多くのCAが先の見えない不安を抱えており、笠川さんもその一人だった。

 そんな中、デジタル変革室が主催する社内イベント「イノベーションウィーク」が開催され、初めて参加した。イノベーションウィークは、社内で使用している技術や活用事例を紹介する催しだ。

 イベント内では、CAの業務に直結する事例の紹介もあった。例えば、フライト前に、その日乗務するCAとパイロットのチャットルームを用意する仕組みだ。

 従来は、その日乗務するCAのリストを紙に印刷し、搭乗前にCAがパイロットに手渡していた。チャットルームによってメンバーが自動で共有され、さらにチャットで事前にコミュニケーションを取れるようになった。

 「CAの業務を支えてくれていた仕組みを誰がどのように生み出しているのか。社内のことでありながら、新鮮な気持ちで聞いていました」と笠川さん。この経験が、デジタル変革室の社内公募に応募するきっかけとなった。

 「システムやアプリに助けられていた一方で『このアプリ、もう少しこうだったらいいのに』と感じることもありました。このチームでなら、自分がCAとして培ってきた経験を還元できるのではないか。そう思って応募しました」

 「でも、ITだしな……」という不安もよぎった。入社以来、現場の最前線に関わってきた自分には、ITの専門的な知識も、経験もない。それでも、募集要項にあった「スキル不問、経験不問」の一文を見て、飛び込んでみることにしたと話す。

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