インタビュー
「本が読めない」時代に広がる“聴く読書” 350万人が利用する背景:サブスクの勝算と限界(5/5 ページ)
忙しさや生活環境の変化で本を「読めない」人が増える中、音声で楽しむ“聴く読書”が広がっている。オーディオブック利用者は350万人に達し、その背景や制作現場、利用実態の変化を追った。
バリアフリーの強みも
オーディオブックという形式には、バリアフリーの観点からも注目が集まる。
重度障害者の日常を描いた『ハンチバック』(文藝春秋)で2023年に芥川賞を受賞し、自身も電動車いす利用者である作家の市川沙央さんは、受賞会見で「読書バリアフリー」を訴え、話題を呼んだ。
オトバンク創業のきっかけも、創業者である上田渉氏の祖父が緑内障で視力を失い、大好きだった読書ができなくなってしまったという経緯があった。
久保田社長は「コンテンツを届ける“インフラ企業”でありたい」と語る。
対象は障害がある人に限らない。加齢による老眼や目の疲れ、病気や入院、あるいは忙しい日常の中で読書時間を確保できない人も含まれる。
同社は個人向けサブスクにとどまらず、現在は図書館や企業向けサービスの展開も進めている。より多くの人が場所や時間を問わずコンテンツに触れられる環境づくりを目指す。
動画やSNSがあふれる時代だからこそ、まとまった知識や物語に触れる機会は貴重になっている。
本を読みたい気持ちはあるのに、時間や環境の制約で読めない。オーディオブックの普及は、そうした人たちにとって、新たな読書の入り口となっているようだ。
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