「忘れないうちに送っただけ」は通用しない 業務時間外の連絡を減らすルール作り、社労士が解説(2/2 ページ)
昨今「つながらない権利」に注目が集まっています。今回は、企業が勤務時間外の連絡についてどのようなルールを定めていけばいいのかを社会保険労務士が解説します。
時間外の連絡は、部下からの逆パワハラも引き起こす
勤務時間外の業務連絡は、上司から部下へのパワハラではなく、部下からの逆パワハラも引き起こす可能性があります。
ビジネスチャットツールの導入に伴い、メールや電話と比べて部下が上司に意見を述べるハードルが下がりました。その反面、上司にとってはいつでも業務上の問題点や不満など勤務時間外でも連絡を受け取れてしまう状況になります。対応が遅ければ「相談したのに対応してくれなかった」と上の階層の上司に報告されることもあるでしょう。
課長以上の管理職の中には、労働時間管理の枠組みから外れ、残業代の支払いや残業時間の制限がなくなる人もいますが、無制限に残業していたら精神的にも肉体的にも壊れてしまいます。企業は、管理監督者であっても客観的な方法で正確な労働時間を把握する義務があります。
緊急対応が必要な事項を明文化する
業務時間外の連絡はできるだけ控えるのが理想ですが、状況によっては必要な場合もあります。医療やインフラ管理など時間を選ばず対応しなければならない業種もあります。
緊急性の度合いには個人差があるので、管理職といえども個人に判断をゆだねるのは望ましくありません。緊急対応が必要な事項を明文化することをお勧めします。
そのためには、まずどのような時間外の業務連絡が発生しているかを可視化しましょう。メール、チャット、電話、顧客からの直接連絡など手段ごとに洗い出し、誰が、どの時間帯に、どの程度の頻度で対応しているのかを把握しましょう。
以前は、管理職および営業や技術担当者などは、トラブル対応のため、勤務時間外や休日に連絡を受けるケースもありましたが、それ以外の社員は、勤務時間が終われば、連絡が入ることはまれでした。今では、新入社員やアルバイトでも、グループチャットのメンバーとして登録されれば、業務に関するメッセージを勤務時間外に受け取ることになります。
ビジネスチャットツールは、情報を共有できて便利な反面、責任や待遇と関係なく、常時接続の対象者が増えることになります。ビジネスチャットツールの導入に際して、当事者だけに任せるのではなく企業側の管理が必要です。
著者プロフィール
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
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