トヨタはなぜ“聖域”を公開したのか 3000億円拠点で見えてきた「勝てる理由」:高根英幸 「クルマのミライ」(1/6 ページ)
トヨタが研究開発拠点のトヨタテクニカルセンター下山を報道関係者に公開した。従来は社外秘だった研究開発現場においても、情報公開を戦略的に活用する姿勢が広まっている。トヨタのケースではどのような狙いがあるのか。
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高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
トヨタは世界中に研究開発施設や生産工場を備えているが、研究開発の中心は当然ながら日本にある拠点だ。
その中でも最新にして最重要な開発拠点といえるのが、愛知県にある「Toyota Technical Center Shimoyama(トヨタテクニカルセンター下山)」だ。2019年に一部のテストコースの運用を開始し、2024年4月には車両開発棟と来客棟が完成。本格的な運用が始まった。
これは、ドイツのニュルブルクリンク北コースを参考にしたマウンテンコースや高速評価路などのテストコースと、そこで得たデータや感触をもとに試作車や量産車に改良を加える開発施設が一体となっているのが特徴で、ドイツ流の開発方法を取り入れている。
トヨタが3000億円を投じたトヨタテクニカルセンター下山。広大な敷地にテストコースと車両開発施設を備える。敷地の6割に森林を残し、エリア内には環境学習センターも建設。里山体験など、地域住民との交流も行っている(写真:トヨタ)
ニュルブルクリンクは、戦前のドイツでクルマのテストコースとして建設され、ドイツの自動車メーカーの車両開発に貢献しただけでなく、1970年代まではF1グランプリ(GP)など世界選手権レースも開催されていた(現在はGPコースも併設)ほど、ドイツの自動車業界と深く関わるサーキットだ。
1990年代からは日本や米国の自動車メーカーも開発中の車両を持ち込み、徹底的に走り込んでシャーシ性能の向上を図るようになった。ニュルブルクリンクでは、走行後に整備や改善を行うためのファクトリーを近隣に備えるメーカーが多かったが、トヨタテクニカルセンター下山はテストコースと車両開発棟を一体化させることで、開発スピードを高め、改良サイクルを短縮することを目指したのである。
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