「昔ながらの氷のう」が100万本ヒット 魔法瓶技術が生んだ新市場(3/3 ページ)
水筒メーカーが開発した携帯氷のうが累計100万本を突破した。背景にあるのは、40度時代を見据えた熱中症対策の変化だ。昭和の道具を令和のヒット商品へ変えた発想に迫る。
発売当初は苦戦
もっとも、発売当初から売れていたわけではない。
2021年から2023年までの累計販売数は、約10万本にとどまった。新しいカテゴリーの商品だったため、用途や価値が消費者に伝わりにくかったようだ。店頭の棚に並べても、数週間後にはワゴンセール商品になるなど、自社のECサイトで細々と販売している状況が続いた。
転機となったのは、2023年夏だった。
北海道在住の女性が、SNSに「エアコンのない小学校に通う息子に持たせたら良かった」といったコメントを投稿したところ、大きな反響を呼んだ。投稿はテレビでも紹介され、口コミが拡散。各地で品薄状態となった。
その後、販売は急拡大した。2024年には単年で約10万本を販売。さらに2025年にはラインアップを4種類に拡充し、年間約80万本を売り上げる主力商品へと成長した。
現在では類似商品も増え、携帯氷のう市場そのものが拡大している。
人気の背景について、商品戦略部の担当者は「『ピーコック氷のう』や『アイスパック』といったキーワードで商品を探す消費者も増えていて、カテゴリーを代表するブランドとして認知が広がっているのではないか」と見ている。
かつて氷のうは、発熱時などに家庭で使う道具だった。しかし猛暑が常態化する中、その役割は大きく変わりつつある。
「水を飲む」ための技術を、「体を冷やす」ために応用したアイスパック。昭和から続く道具が、令和の暑さの中で新たな市場を生み出している。
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