日本発の「夢の電池」はどうなったのか 動き出した再生計画:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
次世代リチウムイオン電池として注目された「全樹脂電池」。開発していた企業は、混乱の末に破産したが、実はプロジェクトはまだ途絶えていない。日本の開発者たちの熱意で、「夢の電池」の量産化は実現できるのか。
再び動き始めた「夢の電池」開発計画
そもそも、APBが直面した危機は、単なる資金繰りの悪化にとどまらない。事の発端は、同社が「実態不明な企業」とされる福岡県のトリプルワンによって、事実上、経営権を掌握されたことにあった。
堀江氏は、通常の蓄電池より安全性が高く、2倍の蓄電能力を持つ全樹脂電池の量産化を目指していたが、2024年に突如、代表取締役を解任された。筆頭株主となったトリプルワン側は、中国の通信機器大手ファーウェイの幹部をAPBの工場に招き入れるなどしていたとされる。
国策としてNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から75億円もの助成金が投じられた事業で、軍事転用も可能な重要技術が中国へ流出した可能性は、国会でも指摘された(2025年2月27日衆議院・予算委員会)。
この経営体制の混乱によって、APBは破産へと追い込まれた。国の助成金も活用されている事業における経営陣の交代劇と係争は投資家の不信を招き、「次世代電池の量産化」という膨大な資本を必要とするプロジェクトは勢いを失った。
しかし、「夢の電池」のポテンシャルを信じる動きは途切れていなかった。最新の資料によれば、破産したAPBの技術は現在、新会社「クリティカルパス」に移り、新たな投資計画とマイルストーンを設定。再生に向けて動き始めている。
特筆すべきは、2026〜27年の具体的な量産計画だ。2026年中には、福井県の武生工場において先行実証ラインを再稼働させ、商業出荷の開始を目指している。さらに、2027年には、長崎県佐世保市で量産工場を稼働させる計画で、年間売上高5億6000万ドル(約840億円)を目指すという。
この再生計画を支えるのは、累計2億3300万ドル(約350億円)におよぶ過去の研究開発投資と、国内外で取得した338件の重要特許などの知的財産である。投資家の評価も回復の兆しを見せており、今後は1億ドル以上の資金調達を計画している。
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