「いきなり!ステーキ」、黒字転換も株価40分の1 ブロンコビリーは最高益、何が違うのか?(2/3 ページ)
「いきなり!ステーキ」と「ブロンコビリー」の業績を比較。安さと急拡大を武器に「記憶の割高感」で苦戦した前者と、体験価値と直営・内製化で高収益を保つ後者を対比し、インフレ下での外食経営の明暗を分析する。
1000円だった300グラムのいきなり!ステーキは、いまや2920円
実をいうと、筆者はいきなり!ステーキの会員プログラムである「肉マイレージ」の上位ランク「プラチナ(20キログラムのステーキを食べた証)」まで到達した身である。
筆者は2018年から毎日のように足を運ぶようになったが、当時300グラムの「ワイルドステーキ」の価格が1529円だった。それが、2026年6月現在で2920円。およそ2倍に上昇している。
冷静に考えれば、この値上げ自体は妥当である。輸入牛肉の価格は上がり、人件費も光熱費も円安も重なった。2018年には期間限定ではあるがこの時は300グラムのステーキが1000円で提供されたこともある。おにぎりでも1個200円や300円でも珍しく無くなった今日から振り返れば、まさに破格といえるだろう。
だが、頭では妥当だと分かっていても「1000円台」と「ほぼ3000円」では印象がまるで違う。
そしてこの印象こそが、価格の安さを押し出していた業態にとって致命傷になる。1000円台という記憶が強烈であるほど、2920円の現実は割高に感じられてしまう。
6年で490店、5年で171店まで縮小
いきなり!ステーキの歴史は、外食史上まれに見る急膨張と急収縮の記録ともいえる。
2013年に銀座で1号店を開いた同チェーンは、2016年末に116店、2017年末には186店へ拡大し、ピークの2019年12月には490店に達した。だがそこから閉店が相次ぎ、2026年2月時点の店舗数は171店。ピークの3分の1近くまで縮んだ。
急成長の原動力は「立ち食い・量り売り・都心一等地」という高回転モデルだった。厚切りステーキを安く速く提供する新奇性は、市場を切り開く存在であった。
だが1年で100店を超えるペースの出店は、商圏の食い合いと新奇性の低下を同時に招くことになった。2019年12月期には純損失27億700万円の赤字に転落し、以後は閉店による止血が続いた。
ただし見落とされがちだが、ペッパーフードサービスの業績は足元で回復しつつある。
2026年12月期第1四半期は売上高38億2100万円(前年同期比10.7%増)、営業利益8900万円と黒字転換を果たし、8月14日には上期利益見込みを2億4600万円まで上方修正した。名物だった「オーダーカット」を廃止して定量のカット肉に切り替えるなど、オペレーションの標準化も進む。
ただし、成長路線を取り戻すには依然として長い道のりとなりそうだ。
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