なぜドンキは外国人客だらけ? 名所より「スーパー」、世界で広がる新たな観光:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が外国人旅行客でにぎわっているが、このような現象は世界的なトレンドだ。現地のスーパーなどで“異国の日常”を体験したいという旅行者が増えた。何げなく触れている商品が、観光の重要な要素になっている。
訪日客が「体験したい日本」とは
百貨店の免税売上高が中国人客の減少で前年割れを続ける一方、ドンキは中国依存を抑え、国・地域別の売上構成比は、韓国23%、台湾18%、中国16%、ASEAN16%、米国9%などに分散している。安さと品ぞろえという日常的な武器が、そのまま観光体験になっている。
また、店舗そのものが目的地化している。ドンキは2035年6月期に免税売上高4000億円を目指しており、インバウンド特化型の店舗を拡大する方針だ。
そして、「日常品こそが最強の土産である」という意識が定着しつつある。高級ブランドではなく、日本の多種多様な菓子のほか、ニチバンの貼り薬「ロイヒつぼ膏」や石澤研究所のコスメブランド「毛穴撫子」といった生活雑貨などが人気商品の上位を占めているという。旅行者は現地の日常を持ち帰りたがっている。
この現象の背景には、SNSや個人ブログ、口コミサイトを通じて、日本人が実際に使って本当に良かったものに関する情報にアクセスしやすくなった事情もある。従来の広告で紹介されてきた定番のお土産ではなく、現地の人々が愛用しているアイテムや、普段食べているローカルな菓子の情報を見つけられれば、それ自体が「体験したい日本」の一つになる。
「小売の観光地化」は偶然の副産物ではない。K-Supermarketが戦略的に、世界初となる一歩を踏み出し、ヒルトンが77%という数字を提示し、ドンキが免税売上高で百貨店トップの三越伊勢丹を追い越した。
私たちが何げなくカゴに入れている、いつものお菓子や日用品。そういう商品こそ、海を越えてやってきた旅行者にとっては、“異国の暮らし”というアトラクションに潜り込むための重要な要素になっているようだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。
Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル」
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