アシックスはいかにして復活したか──「箱根駅伝着用ゼロ」の屈辱から売上高1兆円を叩き出した「選択と集中」(5/6 ページ)
箱根駅伝でのシューズ着用率0%という屈辱から、初の「売上高1兆円」を目前にするアシックス。ナイキの厚底旋風による歴史的敗北からいかにして立ち直ったのか。廣田康人会長CEOの直轄プロジェクト「C-PROJECT」による最速シューズ開発や、野球用具・体操着からの撤退といった「集中と選択」、オニツカタイガーのラグジュアリー化など、日本発グローバルブランドとして復活を果たしたアシックスの勝因に迫る。
オニツカタイガー分社化したワケ 「決定的な戦略の違い」とは?
アシックスの業績をけん引するもう一つのエンジンが、ラグジュアリーライフスタイルブランドの「オニツカタイガー」だ(オニツカタイガーが“新宿ど真ん中”で描く世界戦略 プラダやロエベと競う「売上1365億円の先」参照)。
6月、アシックスはオニツカタイガー事業の会社分割を発表。2027年1月より100%子会社OT GROUPとして完全に独立させるとした。この組織再編の裏には、競技用スポーツブランドとファッションブランドにおける「決定的な戦略の違い」が存在する。
競技用のアシックスがスポーツ用品店や一般靴店への卸売りを柱とするのに対し、オニツカタイガーは一般の靴店には商品を卸さない。販売チャネルは「自社直営店舗」と「自社ECサイト」のみに限定している。さらに、業界の常識である「セール」(値引き販売)もしない。
「オニツカタイガーは、スポーツ用品のブランドではなく独自のラグジュアリーライフスタイルブランドです。パリのシャンゼリゼ通り、ロンドンのリージェントストリート、バルセロナのグラシア通りといった世界最高峰の目抜き通りに出店し、ブランド価値を高めています。競技用シューズとは意思決定のスピードも売る仕組みも全く異なるため、会社を別にしてブランドを研ぎ澄ます決断をしたのです」
東京・新宿にオープンした旗艦店をはじめ、直営店には連日インバウンド(訪日外国人)が殺到している。購入者は一様に、オニツカタイガーのロゴがプリントされたショッピングバッグを提げて街を歩く。単なるスニーカーではなく「所有するステータス」を持つラグジュアリーブランドとしての地位を確立したのだ。
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