2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

好業績なのに“上場廃止” なぜネットワンはSCSKとの「攻めの統合」に賭けたのか(4/4 ページ)

業績絶好調の独立系インフラベンダー・ネットワンシステムズが、自ら上場を廃止しSCSK傘下に入る「攻めの統合」を決断した。身売りではなく、自らの手で次世代IT企業へと進化するための戦略的ディールだ。インフラ(NI)とアプリ(SI)の壁を壊しワンストップ化を目指す両社。文化の異なる大企業同士がいかに融合し事業領域を拡大するのか。最先端拠点「netone valley」で田中拓也COOに直撃した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

AI投資のリアルと、リーダーに求められる「仮説」

 生成AIを中心とする最新技術の活用と、ビジネスモデルの変革についても話を向けた。インフラ構築を主業としてきた同社にとって、AIによる自動化の波はどのような影響をもたらすのか。

 「社内業務やワークフローへのAI活用は当然進めていますが、経営層がよく口にする『AI導入のROI(投資対効果)を出せ』という議論には、疑問を感じています。現段階で明確な数字は出ないのが現実です。しかし『投資効果が見えないからやめる』のではなく『やり続けなければ効果は出ない』と割り切って投資を継続することが、重要だと考えています」

 同社が描くのは、技術の「ハイブリッド化」による収益力の極大化だ。熟練エンジニアの高度な手腕が求められるネットワーク設計・構築においては、その専門的価値を前面に出す。一方で、定型的なネットワークの運用・保守領域にはAIや自動化技術を徹底投入して品質を高めつつ、コストを削ぎ落とし、利益率を上げる二段構えの戦略をとる。


SCSKとの統合という新たな環境においても「堂々と仕事をしてきなさい」と社員に伝えているという

 リーダーとしての信念を問うと、田中COOは力強く語った。

 「社員が挑戦することを認め、自らは仮説を立てて『方向はこっちだ!』と大声で叫ぶことです。SCSKとの統合という新たな環境においても、私は社員たちに『堂々と仕事をしてきなさい』と伝えています」

 以上が田中COOへのインタビュー内容だ。「数年後に『あの人はどこの会社の出身だ』という会話が社内から消えたとしたら、その時こそが、統合が成功した証だと思っています」──。

 旧世代がいつか退くときを見据え、次世代のリーダーたちにPMIを委ねる覚悟を決めた田中COO。“独立系インフラベンダー”の誇りを胸に、SCSKという巨大な組織へと飛び込んだ同社の挑戦は、文化の異なるM&Aに悩む多くの日本企業にとって、極めて重要な処方箋となるはずだ。

著者情報:中村成希(なかむら・まさき)

1998年にMM総研に入社。

PCやサーバ、クラウド市場などの市場調査と分析を一貫して担当している。

近年はクラウド/SaaS/AI領域におけるIT企業の競争戦略や

企業のデジタルマーケティング戦略の助言も行う。

2022年4月から取締役。

51歳。千葉県出身。

著者情報:長尾太地(ながお・たいち)

2023年MM総研入社。PC・サーバ・通信機器をはじめとするITインフラ機器の市場動向および運用管理など周辺ビジネスの調査・分析を担当。併せて、GIGAスクール構想をはじめとする教育DX領域、法人市場におけるAI・ソフトウェア利活用といった最新トレンドの研究・発信を幅広く手掛けている。

「AIに詳しい人ゼロ」の中小企業が、年間2247時間削減できた方法

AIを使いたいが、社内に詳しい人がいない。そこからの1年でした。AI担当を募ると36人が挙手し、非エンジニアの社員がAIに相談しながら自分で業務を自動化。全社に広がり、年間2247時間を削減しました。特別なデータ整備は必要ありませんでした。何から始め、どう広げたのかをお話しします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る