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データセンター増設ラッシュで「東京1つ分の電力」が必要に 間に合わぬインフラ整備、東電の“奇策”は(2/2 ページ)

データセンターの親増設ラッシュによって、電力需要が高まっている。東京電力HDによると「東京都1つ分の電力」が必要になるという。しかし、インフラ整備は追い付いていない。この差をどう埋めようとしているのか。

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「誰も予想していなかった」 電力需要が16年ぶりに上昇、迫る3つの課題

 社会インフラ領域に強みを持つ日立製作所は、AIやデータセンターを巡る電力問題をどうみているのか。同社のアンドレアス・シーレンベック氏(執行役専務 エナジーセクターCEO兼パワーグリッドビジネスユニットCEO)は、日本の電力需要が減少から増加へ転じた「16年ぶりの転換点」について触れた。

 「日本の電力需要は2020年まで下がり続けていたが、2021年から急に増え始めた。誰も予期していなかった」(シーレンベック氏)

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日立製作所 執行役専務 エナジーセクターCEO兼パワーグリッドビジネスユニットCEOのアンドレアス・シーレンベック氏

 需要をけん引するのは電化とAIだ。かつて50メガワットで「大規模」とされたデータセンターは、いまや3ギガワット級が現れた。これは、原子力発電所3基分に匹敵するという。

 同氏が挙げた課題は3つ――「AIとデータセンター、電化の進展が押し上げる電力需要の急増」「必須要件になった脱炭素化」「インフラの老朽化と人材不足」だ。

 「電力の供給を、より早く、よりクリーンにしたい。しかし、それには時間もコストもかかる。ここに矛盾がある」と同氏は語る。

 この矛盾に対して、日立製作所は発電から需要者までをグループ全体で支える「One Hitachi」で応じる。AIで社会インフラを革新するサービス群「HMAX」のうち、エネルギー業向けに展開する「HMAX Energy」では、設備データをAIで分析し、変圧器や変電所の故障の兆候を検知して予防保全につなげる。同氏は「AIは課題であり、解決策でもある」と位置付けた。

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HMAX Energyが創出する価値(出所:シーレンベック氏の講演資料)

電力課題をもたらしたAIを、現場の武器として使う

 電力インフラに“新たな課題”をもたらしたAIだが、同時に電力業界の課題解決にも一役買っている。人口減少と高齢化の影響を正面から受けている電力業界では、インフラを管理する担い手が減る一方で、顧客が減ってもインフラは減らせない。

 東京電力パワーグリッドでは、人が目視していた設備の診断を機械学習で自動化してきた。スマートフォン向けゲーム「ピクトレ」をリリースし、ゲーム内ミッションとしてユーザーが撮影した電柱の写真をAIで分析する取り組みも進む。

 それでも足りない。「電力系統の運用部門は24時間シフトで、1シフトを4人で回していた。改善を重ねて3人になったが、数年後には2人で回すことになりかねない」と岡本氏は語る。

 岡本氏は、あくまで個人の見解だと断った上で、将来の展望に触れた。電柱や鉄塔に登る作業をロボットに置き換えるのは難しい。それよりも、物理的な機器を動かすフィジカルAIを部品のように提供し、現場の担当者がブロック玩具のように組み合わせて作業の特性に合ったロボットを生み出す形が望ましいという。

 日立製作所も電力系統の制御にAIを使う。シーレンベック氏が挙げたのは、新設時のシミュレーションだ。従来はエンジニアが1年かけていた計算を、AIを使うことで半分に短縮でき、その分だけ建設を早く始められる。

 電力需要の伸びは読み切れず、電力系統の増強には時間がかかる。先行きが不透明な中で「AIの側」は電力当たりの性能を上げ「電力の側」はAIで生産性を上げることができれば――。主役はAIでも電力でもなく、両者の相互作用だといえそうだ。

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