街に広がるマイクロモビリティ、何が問題なのか? 日本に合う「新しい足」を考える:高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)
ラストワンマイル対策や高齢者などの移動手段として、マイクロモビリティの選択肢が広がっている。電動キックボードには問題があるものの、市場のポテンシャルは大きい。安全・快適に移動する手段としてさらに普及するためには、何が必要だろうか。
価格を抑える工夫をどうするか
シェアリングサービスも手軽で便利だが、スマホを使いこなすのが難しい高齢者にはハードルが高いし、シェアリングサービスのポートまで行かなければ利用できない。やはり自宅から利用できるように、レンタルあるいは購入できる製品を提供する必要がある。
そこで問題になるのは、やはり価格だろう。航続距離や快適性など、ユーザーの求めるレベルはさまざまだが、そもそも少量生産ではコストを抑えるのが難しい。
マイクロモビリティに挑戦している日本企業を取材してみると、開発は国内で行っていても、生産は中国企業に委託するケースが多い。だが、その段階で中国製の部品や生産体制を利用するのは、もったいないのではないだろうか。
マイクロモビリティを開発した目的は、異業種参入による売り上げの拡大や安定化だろうが、肝心の生産まで国内で行わなければ、日本経済への波及効果は限定的だ。部品の共通化を進めれば、国内生産でもコストを下げることができるはずだ。
デザインにこだわるブランドもあるだろうが、ホイールなどの部品も、規格をそろえて共通化できる。操作スイッチなどは、むしろ共通化したほうが使いやすく、高品質な部品が安く作れるだろう。
台湾のFoxconnがJapan Mobility Show 2023に持ち込んだのは、電動スクーターとバッテリーパックのレンタルステーション。日本でもホンダがこれに近いシステムを導入しているが、まだ普及は限定的だ(筆者撮影)
国内生産を後押しする補助金を充実させるなど、日本のものづくりを支える政策も求められる。シニアが安心して快適な移動を楽しめるように、メーカーや購入した消費者に対する補助金制度の充実を望む。
昔なら普通車や自転車で解決していたラストワンマイル問題は、より手軽な電動車両の発達によって、新しい移動手段で解決できるようになった。道路交通の安全とどう両立させるか。それは行政側が取り組むべき課題だが、メーカーも製品を工夫することで、解決できる領域があるはずだ。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://effectcars.com)、クラシックミニ専門サイト(https://classicmini.jp)を主宰するほか、ベストカーWeb、Yahoo!ニュース、ITmedia ビジネスオンラインなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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