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「○○さんに聞けば分かる」をAIに 日立建機がベテランの知恵を共有したワケ:AIエージェント組織実装の最適解(8/8 ページ)

日立建機は、ベテラン社員の経験や判断基準をAIに組み込み、過去の問い合わせ事例を検索・分析する仕組みを構築した。若手の対応時間を半減させるだけでなく、世代を超えた技術伝承にもつなげている。

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日立建機から学ぶAI活用成功の秘訣


『AIエージェント組織実装の最適解』(園田亜斗夢、川俣彰広/クロスメディア・パブリッシング)

(1)ベテランの思考プロセスをプロンプトに組み込んだ

 FIR検索アシスタントには、「こういう具合にレポートを解釈して欲しい」というベテランならではの暗黙知が、プロンプトとしてあらかじめ組み込まれています。検索を速くするだけでなく、「どう解釈するか」をアシスタントに乗せたからこそ、若手はベテランの判断を追体験できるのです。

 効率化ではなく、人材育成と技術伝承にゴールを置いたことが、この事例を一段深いものにしています。

(2)「探す」のボトルネックを突破口に業務工程を点から線へつないだ

 最初から完璧な業務フローを設計したわけではなく、業務工程のなかで最大のボトルネックだった「探す」をFIR検索アシスタントで突破しました。その成功を皮切りに、関連マニュアルの検索、部内のメールの検索、回答ドラフトの作成と、ほかの工程にもAIアシスタントが派生していきました。

 齋藤氏はこれを「目の前の課題をひとつずつ効率化していったら、結果としてプロセス全体が整理されていた逆説的なアプローチ」と振り返っています。

(3)現場の小さな成功体験を積み重ね、口コミの連鎖で広げた

 部員約30人のなかで、齋藤氏は業務を助けるAIアシスタントを作る→勉強会で使い方を伝える→使われ方をモニターする→フィードバックを反映するというサイクルを地道に回し続けました。さらに、議事録作成アシスタントの展開が「これどうやって作ったの?」という声を呼び込み、FIR事例と重なって利用が一気に拡大しました。

 トップダウンの号令ではなく、現場発の小さな成功と人から人への口コミの連鎖が定着を支えたのです。

園田亜斗夢:

 東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。博士(工学)。専門はニュースの推薦システムに関する研究。また、AIによる不完全情報ゲーム攻略に挑む「人狼知能プロジェクト」に参画し、共著書『人狼知能で学ぶAIプログラミング』(マイナビ出版)を出版。大学院在学中の2018年に株式会社Lightblueを創業、代表取締役社長に就任。生成AIを活用した企業向けAIプラットフォーム「Lightblue」を中心に、現場向けウェアラブルAI「Lightblue Field Link」、受託開発事業「delta」を展開し、国内生成AIプラットフォーム市場でシェア2位、導入企業100社以上を誇る。近著に『Pythonによる 動画解析・ヒューマンセンシングAI』(オーム社)がある。


川俣彰広:

 株式会社Lightblue 執行役員営業部長。ワークスアプリケーションズにてBtoBセールスとして7年間従事し、3年目に売上No.1、以降マネージャーとして3年連続予算達成。2019年、Webサイト翻訳SaaSのWOVN Technologiesに入社し2年連続売上No.1を達成後、新規市場開拓や営業の仕組みづくりを主導。2023年よりLightblueに参画、営業部長を経て執行役員に就任し、生成AIを活用した企業向けAIプラットフォーム「Lightblue」の立ち上げからわずか2年で上場企業を中心に100社以上への導入実績を築き、生成AI導入プロジェクトを推進。


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