定着率97%超 まいばすけっとの障害者雇用が「店舗の救世主」になった理由(1/3 ページ)
独自の仕組みや工夫によって障害のある従業員の定着やキャリア支援に取り組んでいるのがまいばすけっとです。同社の障害者雇用について話を聞きました。
2026年7月、障害者の法定雇用率が2.7%へと引き上げられました。障害者雇用が拡大する一方、採用後の定着やキャリア設計に課題がある企業は少なくありません。
こうした中、独自の仕組みや工夫によって障害のある従業員の定着やキャリア支援に取り組んでいるのがまいばすけっとです。同社では2021年以降、入社1年後の職場定着率が97〜100%という高い水準を維持しています。背景には、採用前の実習やコミュニケーションの工夫など、現場の業務に根差した取り組みがありました。
同社の障害者雇用をリードする、まいばすけっと 管理本部 人事戦略部の石田康晴部長と吉田稀春氏、障害者採用枠で入社し、現在は正社員となった板倉信也氏、現場で障害のある従業員のチームリーダーを務める方に話を聞きました。 聞き手は人事業務や法制度改正を研究するWorks Human Intelligence総研リサーチの研究員で、社会保険労務士の井上翔平。
現場起点の発想で生まれた品出し特化チーム
井上: 障害のある従業員が担当する業務について教えてください。
吉田氏: 以下の3つのチームで分担して進めています。
- キャラバン隊:店舗での品出しを担当
- ランドリー隊:店舗従業員のユニフォームの検品・洗濯を担当
- クリーニング隊:店舗の清掃を担当
中でもメインとなるのがキャラバン隊です。185人(2026年8月現在)が在籍し、65店舗をカバーしています。3〜8人のチームで各店舗を巡回し、商品の陳列を行っています。ランドリー隊、クリーニング隊にはそれぞれ6人が在籍しています。
井上: さまざまな業務がある中で、障害のある従業員に店舗の品出しを任せることになった経緯を教えてください。
吉田氏: きっかけは店舗の負担軽減でした。 午前中に商品の荷下ろし、開店作業、品出しが集中するため、従業員にとって大きな負担になっていました。これを解消するため、障害のある従業員で品出し専門のチームを立ち上げました。
石田氏: 品出し以外にも、事務職や物流センターの業務も候補に上がっていました。しかし、将来的に雇用規模を拡大することを考えており、業務の拡張性などから店舗作業が最も適していると判断しました。
品出し業務はもともと、パートやアルバイト向けに標準化・マニュアル化が進んでおり、業務の切り出しや習得がしやすいという利点もありました。さらに、当社はドミナント出店というビジネスモデルのため、店舗間の移動がしやすく、チームで店舗を巡回するキャラバン隊という仕組みがマッチしました。
こうしたキャラバン隊の実績が社内で評価され、その後のランドリー隊、クリーニング隊の立ち上げへとつながっています。
吉田氏: 私は以前店長を務めていたのですが、午前中の品出しをキャラバン隊が担うことで、店舗スタッフはレジ対応や接客、売場作りといったそれぞれの役割に集中できました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
慕われる“雑談おじさん”を切り捨てた企業の末路 ギスギス職場を救う「見えない貢献」の正体
かつて日本の職場には、仕事をしているのかいないのか分からないけれど、なぜか周囲に慕われる「潤滑油」のような先輩や上司がいました。今、こうした人々の「目に見えない貢献」が、再び脚光を浴びています。
ロート製薬「エントリーシート選考廃止」は、30年続く“とりあえず就活”を変えるか
「エントリーシートによる書類選考廃止」を発表したロート製薬。同社の取り組みは、1990年代から30年以上続いた“とりあえず就活”を変えるでしょうか。
「AIリストラ」に逆行 “人間不要論”が広がる一方で、あえて採用増やす企業の狙い
ここ数年で「AIリストラ」というワードが話題になるなど、生成AIにより採用抑制に踏み切る動きが相次ぎました。生成AIの普及によって変化した採用動向を整理しつつ、「AIを契機に採用を加速させる企業の特徴」「AI時代にIT人材へ求められるスキルの変化」を解説します。
ブルーカラーとて“安泰”ではない AI時代に最もリスクヘッジが利く「2軸スキル」とは?
DXでは、省人化・自動化を図る目的でAIによる業務代替が進行し、特にホワイトカラー領域で顕著です。ホワイトカラーへの雇用リスクが増大する中、人間だからこそできる、体を使った「ブルーカラーワーク」が再評価されています。


