「3週間まとめて休む」「ルールは状況次第で変化」──モンゴル人女性が日本の職場で驚いた文化の違いとは?:【連載】ニッポンを「職場」に選んだら(2/2 ページ)
モンゴルの首都ウランバートル出身で、現在は日本企業で働くツァガーンバートル・ソロンゴさん(49)。日本の職場では、モンゴルとは異なるさまざまな文化やルール、仕事の進め方、さらには休暇の取り方まで、驚くことがたくさんあったと話す。
「3週間まとめて休む」モンゴルと、1日ずつ休む日本
モンゴルと日本、仕事だけでなく、休暇の取り方にも大きな違いがあるという。
モンゴルにも年次休暇の制度はあるが、ソロンゴさんが働いていたモンゴルの職場では、2〜3週間をまとめて取得する同僚が多かったという。
モンゴルの人々にとって夏は、長期休暇を取る時期になる。最も寒い12月末〜2月にかけて、平均気温が氷点下30度と寒さが厳しいモンゴルでは、夏が過ごしやすく旅行やキャンプ、家族との時間を楽しむ人が多い。子どもの学校や保育園の休みに合わせて、家族でまとまった休みを取ることもある。
職場では、10人程度の部署で半数ほどが同時期に休むこともあり、残ったメンバーの負担が大きくなる場合もあるという。
「日本はそうじゃなくて、一日単位で必要に応じて休みを取得しますよね。私はこれはすごくいいと思いました」
業務も一日単位で引き継ぐ。そうすることで、社員は互いの仕事を少しずつ覚えられ、互いにカバーしやすくなる。自身も残りの休暇日数を見ながら予定を立てやすく、メリットを感じるとソロンゴさんは話す。
日本は「マニュアル」、モンゴルは「記録」 何が違う?
モンゴルと日本の両方で働いた経験があるソロンゴさんは、互いに学べる点があると考えている。
何をどこまで仕上げればよいのかを明確にし、一定の基準とルールを守ることで仕事の質を安定させる日本。一方のモンゴルには、状況に応じて柔軟に考え、決められた方法だけに頼らず、別のやり方を試してみる余地がある。
そんな両者の違いを象徴する言葉として、ソロンゴさんは「マニュアル」という言葉を挙げる。
「日本では『業務マニュアル』という言葉がありますよね。でもモンゴルでは『マニュアル』という言葉ではなく『ドキュメンテーション』という言葉を使うんです」
日本のマニュアルは、決められた手順に従って仕事を進めるためのもの、といった意味合いが強い。一方、モンゴルでは「ドキュメンテーション」という言葉を使い、仕事の進め方を文書にして残すという考え方がある。
「こういう方法で仕事をしてきた“記録”という意味で使われます。だから誰かが見れば『こういう感じで仕事を進めているのね。でもこういう違う方法もやってもいいよね』と捉えることもできます」
「だから私たちは、『マニュアルを作って』とは言われなくて、『ドキュメンテーションして』と職場で言われるんです」
マニュアルに沿うことでミスを防ぎ、一定の品質を維持しやすい。一方、記録を参考にしながら別の方法を試すことで、新しいやり方が生まれる可能性もある。
ソロンゴさんは、それぞれの良さがあると考えている。
現在、ソロンゴさんはセールス部門のシニアマネージャーとして、9人のメンバーを率いる。モンゴル、台湾、ウズベキスタン、ロシア、日本──とメンバーの出身地は多様だ。
多国籍なチームをまとめる上で、ソロンゴさんは自身の立場を「間に立つ役割」と表現する。
「メンバーたちは皆、はっきりとものを言います。マネジャーである私に対しても『これ何とかしてよ』と平気で言います(笑)。私はモンゴルで生まれ育ち、日本でも学んだ経験があるので、バランスをとりながら、メンバーたちと向き合っています」
一緒に来日した息子は成人し、いまは趣味の読書やSF映画の鑑賞、甥っ子や姪っ子たちと遊ぶことがソロンゴさんの楽しみだ。ソロンゴさんが日本の職場で感じた新鮮なギャップは、私たちにとって当たり前な働き方を、別の角度から見つめ直すきっかけを与えてくれている。
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