「スタバのレシート持参でコーヒー半額」 年商4億円のご当地チェーン「すなば珈琲」の“逆張り”経営(2/5 ページ)
鳥取県で展開する「すなば珈琲」は、観光客の需要を取り込んで成長し、観光スポットとしての人気を確立している。ブランドを築き上げた創業者に、創業時の思いやスタバ人気を逆手に取ったユニークな戦略の狙いについて聞いた。
スタバの逆のことをする 一体何をした?
「スタバの真逆のこと」とは具体的にどういう内容なのだろうか。
「まず、お金がないので、大手チェーンのように何百万円もする高額なエスプレッソマシンを入れる選択肢がないんですよ。じゃあどうするかと考えて、子どもの頃に親しんでいたサイフォン抽出でいこうと。当時は一式で3000円ほどでした」
布フィルターで抽出するサイフォンコーヒーは、ペーパーフィルターと違って余分な油分が程よくカットされ、深いりでもすっきりとした味わいに仕上がるという。ポコポコと泡を立てながらガラス管を上っていくコーヒーの様子はまるで理科の実験のようで、視覚的にも客を楽しませる効果もある。
さらに食事メニューでも、サンドイッチやペストリーを提供する考えははじめからなかったという。
「喫茶店のメニューから少し外れて、地元食材を使ってしっかり食べられるボリューム満点のものにしようと決めました。鳥取で消費量の多いカレーはもちろん、地元の食材を使おうと。当初、モツ鍋バーガーを出したこともあります」
提供するドリンクのサイズも規格外だ。通常サイズの1.5倍ほどある大きめのマグカップになみなみと注がれたコーヒーや、生クリームがたっぷりのったウインナーコーヒーといった具合だ。これらは村上氏の純粋な庶民感覚から生まれたアイデアだ。
「基本的には、抽出したコーヒーは一定時間が過ぎたらダメになるから捨てなきゃいけない。でもね、どうせ余らせて捨てるくらいなら、最初から大きなカップにドカンと入れて、お客さまに喜んでもらった方がええじゃないかと思っただけの話なんです」(村上氏)
2014年4月、オープン初日には店の前に3時間待ちの行列ができた。スタッフは4〜5人体制、村上氏は朝7時から夜9時までカウンターに入り、サイフォン4台をフル稼働させて客を出迎えた。
目が回るほど忙しいオープン日だったが、今でも忘れられないエピソードがある。
「初日、姫路から来られた親子に声をかけたんです。お子さんが自閉症で2年間ほど家から出られずにいたと。そのお子さんが『すなば珈琲に行きたい』と言ってくれて、久しぶりのお出かけになったとお母さんが涙ぐんで話してくださいました。店をやって本当に良かったと思った瞬間でしたね」
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