「スタバのレシート持参でコーヒー半額」 年商4億円のご当地チェーン「すなば珈琲」の“逆張り”経営(4/5 ページ)
鳥取県で展開する「すなば珈琲」は、観光客の需要を取り込んで成長し、観光スポットとしての人気を確立している。ブランドを築き上げた創業者に、創業時の思いやスタバ人気を逆手に取ったユニークな戦略の狙いについて聞いた。
独自のスタンスでインバウンド需要も取り込む
近年、鳥取県内ではインバウンドの急増も追い風となっている。県内の外国人延べ宿泊者数は2025年に過去最高を記録するなど、地方観光地としての注目度は年々高まりを見せている。だが、すなば珈琲ではインバウンドに特化した販促施策を打っていない。むしろ、独自のスタンスで訪日客を迎え入れている。
「海外のお客さま向けに特別なことはしていません。ただ、旅の思い出としてお土産品のラインアップは充実させています」(村上氏)
さらに同店では、多様な文化背景を持つ訪日客への配慮も欠かさない。鳥取大学近くの店舗を中心に、ハラールに対応したメニューや、鳥取市が推進するビーガン対応の取り組みに合わせたメニューも用意している。
「以前、モロッコから来られたご夫婦がいて、鳥取で働く場所がなくて困っておられてね。それなら、と彼らが働ける店を作ったのがハラール対応の原点なんです。いろんな国の方が気軽にお店に来てコーヒーを楽しんでもらえたら」(村上氏)
村上氏のエネルギッシュな経営手腕により県内11店舗まで成長したすなば珈琲だが、現在はフランチャイズ出店の要望があっても断っているという。村上氏は近いうちに、すなば珈琲の経営を長男の春希氏(31)に引き継ぐ予定だ。
「父はとにかくアイデア力と即断即決の行動力がずば抜けていますし、尊敬しています。ただ、いわゆるトップダウン文化が根強く、思いつきで決めたことが翌日には変わり、現場が混乱することも多々ありました」(春希氏)
春希氏は「子ども心ながらに、すなば珈琲という名前も恥ずかしかった」と振り返り、会社を継ぐつもりもなかったそうだ。しかし、高校3年生のときに母の亜由美さんが救急車で搬送され「これで引退かな」と漏らした一言に衝撃を受け、大学進学をやめて事業を継ぐ覚悟を決めたという。
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