「DXなき事業には人も金も出さない」 住友商事、4800人を“デジタル人材”に変える仕組みとは(1/3 ページ)
SCSK完全子会社化や新組織の設立でDXを加速する住友商事。「営業が本業」だった商社パーソンをどうデジタル人材に変えるのか。デジタル・AI推進トップの巽達志執行役員に戦略を聞いた。
住友商事がDXを加速している。2025年12月にシステム開発大手のSCSKを完全子会社化し、翌2026年4月には「デジタル・AIグループ」を新設した。「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」という経営戦略を打ち出し、全社員のデジタルスキルを等級で可視化する「Dグレード」の活用もスタートした。
「商社パーソンはもともと営業が本業。正直、デジタルやAIが得意な人ばかりではない。それでも、自分事として使わないと、これからの時代は簡単に置いていかれる」
住友商事 常務執行役員 CDO(最高デジタル責任者)・CIO(最高情報責任者)であり、デジタル・AIグループCEOの巽達志氏はこう話す。
同社は2018年に全社のDXを推進する「DXセンター」を立ち上げて以来、地道な取り組みを続けてきた。その結果、特に年次が上の世代を中心に、デジタルへの抵抗感は薄れ、「やらなければ」というマインドセットが社内に育ってきたという。
商社の「モノを売る人たち」を、どうデジタル人材に変えていくのか。巽氏に聞いた。
SCSKを完全子会社化 経営の中核に「デジタル・AI」を据えた理由
――「デジタル・AI」を経営の中心に据えた理由は。
総合商社のビジネスモデルは、モノを売り買いするトレードから事業投資へと移ってきた。住友商事本体の役割も、約40ある戦略単位(ビジネスユニット)をどう束ね、ポートフォリオをどう管理するかが中心になっている。
2021年ごろから、どの戦略にもDXや脱炭素を盛り込むよう求め、入っていなければ人もお金も渡さないと伝えてきた。そこに生成AIが登場した。影響は一つの産業にとどまらず、全産業、さらに社会全体に及ぶ。そこで「デジタル・AI戦略」(DAIS:Digital and AI Strategy)を打ち出し、全ての戦略の中心に据えた。
――4月に新設した「デジタル・AIグループ」の狙いは。
当社ではもともと、DXを推進するCDOとコーポレートITを統括するCIOの役割は別だった。しかし、データを生むのは社内のITで、DXにはセキュリティーや統制も欠かせない。そこで2023年にCDOとCIOの管轄組織を一体化した。さらに2025年にSCSKを100%子会社にしたことで、営業組織としてSCSKを担当してきた部隊も加え、3つの組織を一つにした。
守りを担う管理部門と、収益を稼ぐ営業部門が一緒になっているのは、他の商社にもあまりない。ガバナンスが効かなくなるのでは、という懸念はもちろんある。ただ、それを乗り越えられる土壌があると判断した。
――「デジタル・AIグループ」設立から半年たっての手応えは。
順調な手応えを得ている。例えば、SCSKのERP(統合基幹業務システム)に商社向けの機能を入れ込む取り組みがある。まず住友商事グループが最初のユーザーとして使い、ノウハウを詰めた製品をSCSKが外部に売る。導入側と販売側が別だと調整が大変だが、一つの組織なら進めやすい。
一方で、SCSKは従業員が2万人規模と大きい。お互いの多岐にわたる事業への理解を、もっと深める必要がある。
――米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など巨大IT企業との関係に変化はあるか。
当社はこれらのクラウドの利用者で、SCSKはその販売側でもある。接点がばらばらだったのを一つにまとめ、経営陣同士で向き合えるようにした。ビッグテックの企業も、日本や海外の事業現場を持つわれわれとの協力を望んでいる。
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