5000円のお見舞金で幕引き? GMO熊谷社長「そうではない」──不正アクセスの真相と“後手の悔恨”【ブログ全文】(4/5 ページ)
外国為替証拠金取引(FX)のためのサービスに不正アクセスを受けたことを巡り、GMOインターネットグループの熊谷正寿社長が10月25日、事前に社内の技術者から安全性に関して「改善すべき課題」が指摘されていたとブログに投稿した。一律5000円の見舞金を支払うと発表したことについて、「ご不便とご心配」をかけた顧客への「初動の誠意」だと説明し、幕引きを否定。インターネットが「壊れかけている」として「官民連携」で守ろうと強く訴えた。
なぜ、防げなかったのか――経営者としての反省
私は31年前の創業以来「インターネットは人々を笑顔にするためのものだ」と信じ、事業を続けてまいりました。
しかし、現実はあまりにも厳しく、今やインターネットは悪意ある者たちが人々を脅かし、略奪するための道具へと変貌しつつあります。
「この壊れかけた空間を、次の子どもたちの世代へこのまま引き継ぐわけにはいかない」――その強い危機感から、私は5年前にイエラエセキュリティ社と出会い、グループとして本格的にサイバーセキュリティ事業への参入を決断いたしました。
それだけに、「グループ内に国内屈指のセキュリティのプロを擁しながら、なぜ今回の事態を防げなかったのか」という皆さまからの厳しいご叱責は、痛いほど胸に突き刺さっております。
言い訳ではなく、事実としてお話しいたします。
本サービスのセキュリティに関しても、社内のホワイトハッカーから改善すべき課題が事前に現場へ指摘されておりました。現場チームもその指摘を受け止め、対策を進めておりました。
しかし、サービスの可用性への影響や他の対処事項との優先順位を考慮しながら慎重に対応を進めた結果として、その対応の深度とスピードが十分ではなく、攻撃者にその間隙を突かれてしまいました。プロを抱えながら、その知見を組織として完璧に防御へ昇華しきれなかったことを、私は深く反省しております。
誰よりも深い悔しさを噛み締めているのは、危険を察知し警告を発していた現場のホワイトハッカーたち自身であり、防ぎきれなかった技術陣です。
民間の総力を挙げ、国と連携して立ち向かう
だからこそ今、GMOサイバーセキュリティbyイエラエやGMO Flatt Securityをはじめとする200人の精鋭たちは、専門家としての誇りと意地をかけ、自ら決起し、お客さまに安心してご利用いただける状況とできるよう、全力で取り組んでいます。
私たちは、単に国へ対応をお願いしているのではなく、民間の側で持てる力をすべて注ぎ込み、捜査と防御を前進させる布陣を敷いています。
(1)自社の責任と負担の完遂
お客さまへの補償対応、代替環境の提供、システムの刷新などにかかる費用は、しべ手自社の責任において引き受けます。「民間の負担を国に負わせる」ような意図は一切ありません。
(2)国内最大規模のホワイトハッカー集団
ICPO(国際刑事警察機構)出身者を含む200人規模のセキュリティ人財が、攻撃からの防御とログ解析に全精力を注いでいます。
(3)先端AIツールの活用
高度なAI分析環境を活用し、膨大な脅威情報の整理と痕跡の特定を迅速に進めています。
(4)国際的な法的証拠保全
裁判所を通じた開示請求の手続きに着手するなど、法令に基づき、攻撃者の足取りや通信ログの獲得に向けて具体的な行動を進めています。
自社の対策に及ばなかった点があったことは深く反省し、抜本的な改善を進めてまいります。しかし、一番許されないのは、人々の財産とデータを脅迫の道具にするサイバー犯罪者です。今、この犯罪集団の痕跡を追い、特定を進めるための情報が集まりつつあります。
必要なのは「国境を越えて国民の財産を脅かすサイバー犯罪を断固として許さない」という、国の毅然とした方針と、法に基づく実効的な連携です。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
関連記事
タイムズカー、見舞金「3000円」を“被害者の一部”に支払いへ 対応費用で55億円の特別損失
パーク24は10月23日、カーシェアサービス「タイムズカー」の会員情報が漏えいした不正アクセス事案について、一部の被害者に見舞金として3000円相当の現金または金券を渡すと発表した。
「660万件流出」判明の3日前、タイムズカーは何を伝えた? 企業の命運を分ける「初報の鉄則」
タイムズカーの約660万件アカウント流出をはじめ大規模情報漏えいが相次ぐ中、全容判明前の「初報」の出し方が企業の信頼を大きく左右している。調査完了を待って公表を遅らせるリスクや「不正利用は確認されていない」という常套句の落とし穴を指摘。法令対応の「法律の時計」と二次被害を防ぐ「顧客の時計」を両立させ、不確実な状況でも顧客の不安を減らす危機管理広報の鉄則を最新事例から解き明かす。
アサヒ・アスクルを襲った「PC1台の死角」 日本HPが説くセキュリティ投資の真意
2025年後半、ランサムウエアによるサイバー攻撃が、アサヒグループホールディングスやアスクルを襲った。システム障害と業務停止は、PC1台のハッキングが企業の命運を揺るがす事実を、日本中に突きつけた。「エンドポイント」を、いかに死守すべきか。日本HPの岡戸伸樹社長は「セキュリティは経費ではなく投資だ」と断言する。
バーガーキング公式アプリ、約1118万件の情報漏えい クレカ番号「非保持」が被害拡大を防ぐ
バーガーキングを展開するビーケー・ジャパンは10月15日、公式アプリへの不正アクセスにより約1118万件の会員情報が漏えいしたと発表した。10月2日から7日にかけてシステムへの侵入を受け、氏名や電話番号などが流出。ただしクレジットカード情報は自社で保持しておらず、流出を免れた。同社は個人情報保護委員会への報告を済ませており、国内企業を狙うサイバー攻撃の新たな大規模被害事案となる。
ソースネクストで最大2252万件流出、ベネッセに次ぐ「歴代2位」 パスワードも流出か?
ソースネクストは10月15日、会員管理システムへの不正アクセスにより約2252万件の個人情報が流出したと発表した。APIが悪用され、氏名やパスワードなどが対象に含まれる。東京商工リサーチによると、2014年のベネッセ(約3504万件)に次ぐ歴代2位の規模だ。2026年の上場企業による100万件以上の流出は過去最悪ペース。事業継続を揺るがす異常事態に企業の防衛体制が問われている。
「アサヒ・ニチレイの惨劇」はどう防げた? 米HP幹部が語る“ネット遮断AI”と日本攻略
アサヒビールやニチレイ、アスクルなど、日本企業を狙うサイバー攻撃が相次いでいる。米HPのマイケル・ボイルSVPに、日本市場における新たなセキュリティ戦略を聞いた。社員の意識向上を支援する「コンサル型営業」への変革や、クラウド非接続で情報漏えいを防ぐエッジAI搭載PC「HP IQ」の投入など、単なるハードウェア販売からの脱却を図る。
日本を守るには「国産AIが必須」──NEC社長、サイバーセキュリティ事業強化を熱弁
NECは、日本のデジタルインフラの安全性確保に向けて、サイバーセキュリティ事業を強化する。5月8日に開催したNEC サイバーセキュリティ事業説明会(住所非公表)で森田隆之CEOが発表した。