その不採用理由、ただの“後付け”では? 面接官の「情緒的な未熟さ」が招く採用リスク(1/3 ページ)
「協調性に欠ける」「社風に合わない」といった、もっともらしい不採用理由。しかし実際には、面接官が抱いた感情に、後からもっともらしい理由を付けただけかもしれない。面接官自身の「情緒的な未熟さ」が招く採用の落とし穴と、求められる面接官の姿を考える。
「協調性に欠ける」「柔軟性がない」「自社の社風に合わない」
こうした理由で、応募者の不採用が決まることがある。いずれも、採用判断としてもっともらしい理由だ。しかし、その評価は本当に応募者の能力や適性に基づいているのだろうか。
採用した人材が入社後に活躍したかどうかは確認できる。しかし、不採用にした人材を採用していたらどうなっていたのかは、確かめようがない。だからこそ、採用選考では応募者だけでなく、評価する面接官自身にも目を向けたい。
「なんとなくの判断」がもっともらしい不採用理由に変わる
明るく、はきはきと答える応募者は「好印象」。質問にすぐ答えられなければ「頭の回転が遅い」、自分と異なる意見を述べれば「協調性に欠ける」――。
それらは本当に、仕事で成果を出せるかどうかを見極めるために必要な要素なのだろうか。面接官が個人的に「感じた」ことを、能力や適性の評価に置き換えている可能性はないだろうか。
筆者が以前、採用現場で実際に見聞きした事例を紹介する。
ある応募者が「経験が不足している」という理由で、不採用になった。しかし、同じポジションで後日採用された別の応募者を確認すると、不採用になった人よりも経験が少なかった。
もちろん、経験以外の能力や適性を総合的に判断した可能性はある。しかし、それならばなぜ経験不足が不採用の理由になったのだろうか。
「もっともらしい理由」が正しいとは限らない
面接官に選考理由を尋ねると、多くの場合、それらしい説明が返ってくる。しかし、本当にその理由で判断したのか、それとも先に結論があり、後から理由を付けたかは分からない。
少し古い情報ではあるが、心理学者のエリック・ルイス・ウルマンとジェフリー・L・コーエンが2005年に『Psychological Science』で発表した研究では、性別による採用バイアスを検証している。
その結果、評価者は、自分が採用したい性別の応募者の強みに合わせて、学歴や現場経験などの評価基準を後付けで変える傾向がみられた。一方、応募者の性別を知る前に評価基準を決めておくと、こうした性別による偏りはなくなった。
この研究では、自分は客観的に判断していると強く考えていた人ほど、性別による評価に大きな偏りがみられたことも報告されている。この結果は、人は客観的に判断しているつもりでも、無意識のうちに評価基準をゆがめてしまうことがあると示している。
面接官が合理的な選考理由を説明できたとしても、その判断が本当に客観的だったとは限らないのだ。
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