+D Style 最新シネマ情報:アルゼンチンババア

photo

 よしもとばななが2002年に発表した「アルゼンチンババア」。よしもとの小説が映画化されるのは「キッチン」(1989)、「つぐみ」(1990)に次いで今回で3度目である。監督は「鉄塔武蔵野線」の長尾直樹。

 高校生みつこ(堀北真希)の母親が病院で息を引き取った。みつこの父親、悟(役所広司)は生粋の墓石彫り職人であり、愛妻家でもあった。毎日、妻の見舞いに行っていた悟だったが、その日に限って病院へは行かず、突然、失踪してしまう。半年後、悟は町外れの草原にひっそりと建つ「アルゼンチンババア」ことユリ(鈴木京香)の屋敷で暮らしているという。思い切って彼女の屋敷を訪ねたみつこ。世捨て人のようになった父親と久々に再会するが、謝るどころか「よぉ」と気軽な感じ。さらに悪いことに、彼はアルゼンチンババアに恋をしていたのだ! こうして、あの手この手の父親奪還作戦が始まった!

 アルゼンチンババアは、昔はアルゼンチンタンゴやスペイン語を教えていたことから、このあだ名が付き、ちょっと頭がおかしいという噂の謎多き女性だ。原作では50歳、「魔女のようなわし鼻で、目は鋭いつり目で、やたらと尖った体つき」と表現されている。これを美人女優・鈴木京香が演じるというのだ。

 気になるのはやはり鈴木京香のババア度。厚化粧に、いかにも悪臭がしそうなボロボロの衣装、白髪交じりのボサボサヘアーで変装はしているが、本人とは判別不能な特殊メークを施しているわけではないので、やはりその美しさは隠せない、というよりあえて隠していない。でも、大らかな愛の人、アルゼンチンババアに見えてくるのは確かな演技力と彼女の持つ母性力のおかげか。

 とはいえ、清潔感がある上品な女性のイメージが強い鈴木京香にとってはチャレンジングな役どころ。「八つ墓村」(96)はじめ数々の謎のババアをこなしてきた故・岸田今日子に及ばずとも、そのババアっぷりは必見だ。

 タイトルのインパクトとは裏腹に、内容はほのぼのした家族の再生物語である。異国情緒たっぷりのアルゼンチンビルを舞台にした、ちょっとイイ話は、きっとポジティブな気持ちにしてくれるはず。

photophoto

アルゼンチンババア

監督・脚本:長尾直樹/原作:よしもとばなな/脚本協力:金子ありさ

出演:役所広司、鈴木京香、堀北真希、森下愛子、手塚理美、岸部一徳

配給:松竹/キネティック

2007年3月24日より東劇ほか全国ロードショー

(C) 2006「アルゼンチンババア」製作委員会



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.