「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年01月18日 08時35分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

 「シザーハンズ」(1990)から数えて6作目にあたるティム・バートン監督×ジョニー・デップの最新作が、この「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」だ。

 19世紀のロンドン。美しい妻と愛娘に囲まれ、ベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は幸せな日々を過ごしていた。だが、悪徳判事のタービン(アラン・リックマン)は彼をねたみ、無実の罪をなすりつけ、オーストラリアへと流刑にしてしまう。

 15年後、脱獄したバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え、元いた床屋に舞い戻る。そこで大家のミセス・ラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)から聞かされたのは、妻が服毒自殺を図り、娘が判事の養女になっているという事実だった。スウィーニーは2階で床屋を新装オープンし、判事に復讐する機会を狙うが、予行演習とばかりに商売道具のカミソリで次々と客の喉を切り裂いていく。死体は改造椅子から滑り落ちる。しかもその肉をミセス・ラベットがミートパイに加工して売りさばく。人肉ミートパイの美味しさはたちまち評判となり、店は連日満員に。そのころ、成長した娘にも、判事の魔の手が迫っていた…。

 もともと1979年にミュージカルとして上演され、そこから幾度もの舞台化やベン・キングスレー主演の映画化(1997)を経て、今回初のミュージカル映画が誕生した。

 オープニングのロンドンの風景から引き込まれること間違いなしの、ティム・バートンらしい怪奇趣味と映像美で溢れた作品だ。モノクロに近く退色させた映像は、まるで復讐に取り憑かれたスウィーニーの心情を表しているかのよう。ダークな画面の中、鮮血の赤が際立つ。だが、人工的な赤なので、残酷さは軽減。

 「シザーハンズ」「チャーリーとチョコレート工場」(2005)に続き、デップはまたまた白塗りフェイスながら、悪魔の理髪師を全霊で演じる。肝心の歌も上々で、渋い声を披露。「パイレーツ・オブ・カリビアン」でジョニーのファンになった女子にとって今回はキツイ。だが、生粋のジョニー・ファンはむしろ大歓迎のはず。

 見事なキレっぷりを見せるヘレナ・ボナム=カーターと、インチキ理髪師を軽妙に演じたサシャ・バロン・コーエン(「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」)も見どころのひとつだ。

 俳優たちが吹き替えなしでミュージカルシーンを演じているので、ミュージカル映画でありながら、本物のミュージカルとは別物の味わい。スプラッター嫌い以外は誰でもなじめそう。スウィーニー・トッドというキャラクターに惚れ込んだバートンの愛情をひしひしと感じられる本作をスクリーンで是非!

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(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

監督:ティム・バートン/脚本:ジョン・ローガン/作詞・作曲:スティーブン・ソンドハイム

出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン

1月19日(土)より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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