インタビュー
» 2008年04月01日 00時01分 公開

「高額品でなく高級品を」――“50万円超”G-SHOCK開発の裏側に迫る+D Style インタビュー(2/3 ページ)

[山田祐介,ITmedia]
photo MRG-7500

――“高級”へのこだわりは、具体的にどの部分に表れているのでしょう?

井崎氏: MRG-7500までのモデルはプラスチックモデルの造形をベースに、それをメタルに置き換えてきました。確かにG-SHOCKらしい形ではあったのですが、メタルケースの高級モデルとして“面の歪みのなさ”や“鏡面の美しさ”といったところを求めると、どうしてもその形が邪魔をする。G-SHOCKらしさであるボディの“出っ張り”部分で、表面の美しさを左右する研磨作業が分断されてしまうのです。そこで今回のモデルでは、ボディパーツを従来の3つから5つに細分化し、それぞれに研磨が行き届くようにしています。今回のモデルは最高峰の磨きとされるザラツ研磨も入れることができる面構成になっているのです。

――あくまでも“G-SHOCKらしい形”は残しているんですね。

井崎氏: G-SHOCKの出っ張りには、ボタンをガードするという機能的な意味がありますし、今回はパーツ化した出っ張り部分に緩衝材をいれて、サイドの衝撃吸収性も高めています。ただの飾りというわけではありません。


photophoto 面と面との境目や、凹凸部分の質感に注目

――デザインはどういう過程で煮詰められたのでしょう?

井崎氏: 今まではデザイナーが「こういうものを作りたい」というデザインを基に、なるべくそれに忠実な加工を行っていたのですが、今回のモデルでは作り方からして手探りでしたので、デザインをする上でも最初から職人さんの意見を聞いて、「そんな形じゃ高級品は作れない」と言われるところからスタートしています。

――限定モデルMRG-8000Gとベースモデルとの違いを教えてください。

井崎氏: MRG-8000Gの方は、見た目の美しさを重視して、ベゼルにマイナスビスを使っています(MRG-8000Bはプラスビス)。このビスは飾りではなくきちんとした機能部品でして、緩めればベゼルが外れるものなのですが、マイナスビスを使うと従来の工具では上手く締まらず、不良品を作ってしまうという問題が出てきました。しかも、ビスを締め付けるトルクは防水性能に大きな影響を及ぼします。ですからマイナスビスの取り付けは職人が専用の工具を使い、1つずつ手作業で行っています。もう量産と言うよりも、手作りの感覚ですね。あとは18金無垢素材の都市コードリングを使っているのも、大きな違いです。文字盤のデザインも少し異なっていて、金メッキを施したパーツを使っています。


photophoto MRG-8000Gと、18金無垢の都市コードリング

――18金パーツというのはインパクトがありますね。

井崎氏: 高級モデルとしての展開を目指していたので、部品も今までと違うものを使おうと考えていましたね……。実は、耐衝撃性能を求める時に部品の“重さ”はかなりネックになります。ですからこれまでは、外観に影響しない限り極力軽い素材を採用してきました。しかし8000Bには、外見上は黒く塗られてしまい見分けがつきませんが、金属製の都市コードリングを採用しています。その理由は、今回のようなバリエーションの展開を想定していたからです。それと、金パーツを使うにあたっては、重さに加え素材としての軟らかさも考慮しなければいけない。衝撃で変形する恐れがあるので、実際に金パーツを組み込んだ試作機で実験を繰り返しました。

――お話を聞いていると、G-SHOCKとして求められるタフネスの要素と、高級品として求められる要素は相反するところがあるように思うのですが。

井崎氏: そうですね。ベースとなるタフネスは妥協せず、けれども高級モデルとしてのこだわりも盛り込みたい……そのせめぎ合いが常にありました。しかも、素材や作り方が変わればノウハウも一からの出発です。耐衝撃性能も新規に計り直す必要がありました。今回はムーブメントを作る時点から、メタルパーツを使うことを想定して評価試験を行っています。

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