「ブタと燃費」ってどういうこと!?――プロに教わる“タイヤの安全”その3+D Style モテるクルマの選び方(2/2 ページ)

» 2008年04月25日 15時41分 公開
[今井優杏,ITmedia]
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 講義が終わると、今度は実習です。ここではなんと! 緊急時のために、発煙筒の使い方を実践で学ぶことができます。

 発煙筒……使ったことあります? 恥ずかしながら、私は初めて。

 まずフタを引き抜いて反対側に挿し、マッチを擦る要領で外に向けて「えい!」とやります。外に向けるのは自分がやけどをしないため。

 案外アッサリ発煙してくれました。

 しかしです! インストラクターから「絶対に火が付いた方を下に向けてくださいね!ろうそくのように垂れてきますから、とても熱いですよ!」との指示があったにもかかわらず……そしてきちんと下に口を向けていたにもかかわらず……強い風向きのせいで燃えた液体を手に浴びてしまった私……。

 「あ、あぢ〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 ……みなさん、まじで熱いです。ろうそくなんて比じゃありません。ご使用の際はくれぐれも! 気を付けてくださいね……。

photo 新品タイヤでフルブレーキングです。午前中のドライ路面よりも滑る!!

 ここで午前中のスケジュールは終了。用意されたお弁当をいただいて、午後のスケジュールに備えます。

 午後も摩耗状態の比較体験、空気圧の比較体験、スキッドパッド体験と盛りだくさん。

 まずは摩耗状態の比較体験です。

 人工的に造られた水深2ミリの濡れた路面を、新品タイヤ(溝7.5ミリ、ほぼ新品です)と摩耗タイヤ(3.2ミリ、摩耗はしていますが車検は通ります)で、急制動を体験します。助手席に同乗したインストラクターの指示に従って、思いっきりアクセルを踏み、水を張ったコース内で「ドカン!」と急ブレーキするのです。

 さて、1回目は新品タイヤで出発です。

 ステアリングも安定していて、ブレーキもアクセルもためらいなく踏める感じ。よって制動距離も短いです。


photo さらに不安だった摩耗タイヤでの急制動。スピードを上げると、車内音も気になりました。おんなじタイヤでもここまでの差とは。驚きです

 2回目は摩耗タイヤで出発。

 なんだかステアリングが安定しなくて、アクセルも重く感じます。ブレーキも重い。思わず踏むのを感覚的にためらってしまう感じ……怖い! 制動距離はうんと長くなってしまいました。

 ホントの緊急時、この2〜3メートルの制動距離の差はとても大きいはず。新品タイヤならぶつからなくても済んだものが、摩耗タイヤだとぶつかってしまう、ってこと。車検を通るくらい溝の残ったタイヤでも、新品と比べるとこんなにハッキリ違いが出てしまうものなんですね。

 ちなみに、この実習ではもう1つのプログラムが同時進行しています。

 それがハイドロプレーニング現象の体験。

 タイヤが摩耗のせいで水を吐き出さず、タイヤと路面の間に水が入り込み、車が水の上に滑るような状態になってしまうこと。ハンドルやブレーキが効かなくなり、大変危険な状態です。

 レッスンでは、人工的に造られた10ミリの水深の路面で、インストラクターがデモンストレーションをしてくれるクルマに乗り、体験することができます。

 やはりこちらも新品タイヤならしっかり路面を捉えて右に左にハンドルが効くのですが、摩耗タイヤではなんと! 時速80キロでインストラクターが180度(!)ハンドルを回しても、直進し続けてしまいました。これにはア然……。つまり、ぜんっぜんハンドルが効いていないってこと!

 ではもしあなたが摩耗タイヤを履いているとして(車検を通る範囲でも)、ハイドロプレーニング現象に遭遇してしまったら、どうしましょう。

 答えは「速度を落とすこと」。

 しかも急にアクセルを離すのではなく、ゆっくりと慎重にアクセルを戻して下さい。落ち着いて!!

 スポーツカーのように車体が軽くタイヤが太いクルマはハイドロプレーニングに遭いやすいといいます。とはいえいつも新品タイヤを履くというわけにはいかないと思いますから、雨の日はスピードを出しすぎないことですよね。

 次回、完結編です!

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筆者プロフィール

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今井優杏(イマイ ユウキ)

2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!


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