夏のスタイルといえばすっかりクールビズが定着しているが、ラグジュアリーさがいまひとつ足りず、女性ウケはあまりよろしくない。いくら暑くとも+D Style世代なら、ラフなスタイルばかりではなく時にはビシッとキメたいもの。かといって、かっちりとしたスーツは暑苦しいとなると、大人の男のラグジュアリー&クールスタイルには、何を選択すればいいのだろう……。 |
その答えのひとつが、昨年からじわじわと+D Style世代のメンズの間で盛り上がっているという“和ファッション”である。 「男性の和装は確実に盛り上がってきていますね。昨年暮れに、20代男性向けのモノマガジン『Bigin』(世界文化社)と家庭画報との共同編集で男性専門誌『着物Begin』が出まして、当店もご協力させていただきました。和装を愛好する男性が集まるSNSのコミュニティへ読者モデルの呼びかけをしたところ、募集をはるかに超える応募があって選定に大変だったそうです。好評により、夏号も出版されています」(「awai」支配人・木下勝博さん) 今年4月、六本木にオープンした和のセレクトショップ「awai」は、もともとの母体が博多の創業111年の織元である。和モダンな空間と求めやすい価格帯が魅力で、和服に興味はあっても呉服店に足を踏み入れるのにはためらいがある客層にも人気なのだそう。 |
「和服はラグジュアリー感や男性の色気を演出する効果があり、30代以上の方には特にお薦めしたいですね。飛行機やホテルなどのシーンの時、サービスの違いが確実に実感できます。また、確実にモテ度がアップするのは、自分の経験からも断言できます(笑)。和服は話題づくりに一役買いますし、コミュニケーションツールにもなるんですね。女性から声をかけられる機会は確実に増えますよ。私の場合も、パーティや、時には銀座などで初対面の女性から『ステキですね』と声をかけていただくこともあります。自分が身につけている物を女性から『ステキ』と褒められることって、そうそうないことですよね。そういったメリットを実感して、すっかり和服が病みつきになってしまいました(笑)」 |
支配人の木下さんは、経営者の友人から誘われて5年ほど前に東京のIT系企業から転職したという、着物業界では異色の経歴の持ち主。この業界に足を踏み入れてから、プライベートも和服で通し、洋服はほとんど着ていないという木下さんは、「和服は男性の魅力を3割以上アップする」と断言する。そして和服の魅力は、ファッションとしてだけではなく、エコや機能面も見逃せないのだそう。 |
「風通しが良いので、夏は特に重宝します。洋服はトレンドの変化が早いので、男性のものでも3年前のものはなかなか着られないですよね。和服は10年経っても基本的なデザインは変わりませんし、体型が変わってもある程度までなら着られますので経済的です。また意外な効用が、腰痛が治ったことです。これは、姿勢が良くなることと、帯の位置がへそ下にあることで、身体の重心が安定するからかもしれません」 ユナイテッドアローズとのファッションショーなど、コラボレーションやイベントを積極的に行い、もっと自由な着こなしの楽しさや情報、リアルクローズとしての和服を提供していきたいという木下さん。 |
「季節やTPOなどの決まり事が厳しい女性の着物と違い、男性の着物は着付けが簡単で、着こなしの自由度が高いのもポイントです。綿の着物ならばインナー次第で真冬以外は着用できますよ。和服の時には下着も合わせてふんどしがおすすめです! 実は、最初は私も抵抗があったのですが(笑)、思い切って履いてみたら日本の伝統の素晴らしさを再確認しました。和服は、もともとは日本人ならば誰でも着ていた服です。例えばIT系など、比較的自由な服装がOKの業種なら、ビジネスシーンでも普通に着用する方が現れたらステキだなと思います。真のクールビズの実現にもなりますよ」 気になるプライスは、綿素材でオーダーで5万円ほど。男の新しい魅力を演出してくれる可能性を秘めた和服を、クローゼットに1枚しのばせてみてはいかがだろう。 |
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取材・文/似鳥陽子
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