インテリアの質感も相当に高いです。
中に入ればやっぱり狭いですが、究極に簡素化されながら遊び度の高いインパネのデザインが、贅沢なインパネに慣れきった目には新鮮です。
使い勝手はどうなのか、短い内覧時間内に検証することは不可能でしたが、シンプルなだけに視覚的にわかりやすいのは確かです。
車内空間を稼ぐために作られた超薄型シートは、その座り心地が心配でした。すっかり腰痛モータージャーナリストとしての地位を築きつつある私ですから(?)、やはりシートの座り心地チェックは外せません!!
だけど、これも拍子ぬけするくらい遜色がなかったんですよね。適度にバケットシート形状なので、すっぽり包みこまれる感じ。ちょっとロングドライブで座って試してみたい衝動に駆られてしまいました。
話題の3+1人乗り(大人3人/子供1人)の室内空間ですが、これはやっぱり、狭いです。助手席を思いっきり前に出すことで助手席の後ろに大人1人分の座席を確保しているわかですから、助手席の人は今までに経験したことのないくらいフロントガラスとダッシュボード(これもこの乗り方のためにかなりえぐった形状になっていますが)を近く感じるはずです。この接近感は少し怖いかもしれません。
スポーツカーが大好きな私は、かねてよりトヨタのようにお金のある企業こそが、ニッチ層に向けたスポーツカーを採算度外視で開発すべきじゃないのか、と思い続けてきました。
ところが、そのトヨタが踏み込んできたのはスポーツカーではなく、さらに先を行くかのような近未来型コンパクトカー市場。
トヨタのことですから、採算度外視なんてしていないでしょう。その証拠にこのiQは日本での月販目標台数は2500台と控えめではあるものの、2009年からは欧州というビッグマーケットでも発売が予定されています。
各国の税制の差などもあって、一概には言えないですが、日本よりも駐車などでコンパクトカーが優遇される欧州において、信頼のJAPANブランド・マイクロカーは、日本国内以上に受け入れられることでしょう。
iQのコンセプトカーが発表された2007年のフランクフルトショーでは、なんとあのカルロス・ゴーンさんが視察に来ている現場に出くわしました。折しも欧州委員会が提案した新排出ガス規制。それはEU27カ国での新車のCO2排出量を、2012年までに走行1キロメートルあたり120グラムに減らすという厳しいもの。その規制に備えるにあたって、先手を打った敵陣を訪ねたのでしょうか。
環境の視点で捉えれば、iQにはまだまだ新展開の可能性がありそうです。iQをベース車両にして、例えばアイドルストップを備えたマイルドハイブリッド、そして電気自動車などなど……。スマートや、三菱のiがそう展開していったようにね。
そして、原油価格高騰から始まったエコブームが販売の追い風になることは間違いないでしょう。
大きいクルマがステータスではないということを一番実感しているのは、小さな都市に密集して住まざるを得ない、われわれ日本人。特に都市部の人々。
道具としての使い方はかなり限られるかもしれません。それでも、このクルマにインテリジェンスを感じる人は、少なくはないように思います。
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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