2010年の万博へ向けて、街の風景もトレンドも日々めまぐるしく変わり続けていく1800万人都市・上海。そんな上海で、レストランレビュー誌の社長や地元のトレンドセッターたちが「間違いなく、今の上海のファイブスター!」と太鼓判を押すのが、「蘭会所」である。 「蘭会所」は、中国国内で四川料理レストラン「俏江南(SOUTH BEAUTY)」をはじめ30軒以上のレストランを経営する「俏江南餐飲管理集団」の女性オーナー・張蘭さんが誇りを込めてオープンさせた、同グループのラグジュアリーレストランの旗艦2号店だ。 北京の1号店の内装は、数々のホテルやレストラン、工業デザインまでもを手がける、20世紀を代表するアーティストであるフランスのフィリップ・スタルク氏が手がけ、総工費45億円と言われる豪華なものである。 |
そして、今年5月に満を持して外灘(バンド)地区にオープンした上海店は、4階建てで総面積5000平方メートルという広大さ。館内はフロアごとにテーマとデザインが分かれて、モダンとシノワズリが融合したラグジュアリー感に満ちあふれ、女性企業家としても有名な張蘭さんのセンスと力を示している。 上海市政府の優秀歴史建築にも指定されている建物は、1914年に建てられたバロック式の洋館を丸ごとリノベーションして作られたもの。デザインを手掛けたパトリック・ギルス(Patrick Gilles)氏は、世界的メディア王として誰もがその名を知るルパート・マードック氏の邸宅や、パリ所在のルイ・ヴィトン本店のデザインも手がけた経験も持つ。 1〜2階は吹き抜けのラウンジ&バーと高級中国料理レストラン、3階は個室フロア、4階はブリュッセルでミシュランの2つ星を獲得したレストラン「Sea Grill」シェフのYves Mattagne氏がプロデュースするフレンチレストランとカフェが広がる。 |
中国の伝統美と西洋のスタイルを融合させた優雅で独特な世界は、上海でも他に類を見ず、新しモノ好きで、派手なコンセプトレストランには慣れっこなはずの上海っ子の度肝を抜いたしつらえとなっている。そんな最新クラブレストラン「蘭会所」の館内を巡ってみた。 まずは、疎界時代の名残りを感じさせる、ロマンティックなエントランスからベルボーイに迎えられて、ドラゴンの門をくぐる。 回廊からラウンジ&バーを見下ろすことのできる1〜2階の中華料理レストランフロアはモダンシノワテイスト。ラウンジ&バーは22時を過ぎるとDJが入り、ラウンジからクラブへと表情を変える。「クラブレストラン」と呼ばれる由縁である。 |
手探りで進まなければいけないほど照明がぐっと落ちる3階の個室フロアは、北京の四合院を彷彿とさせる。個室内はシルク張りの壁に囲まれ、清朝式のベッドを模したソファが備え付けられている部屋もあるエロティックな空間である。壁一面に約3億円の価値の中国モダンアートが描かれた一番広い個室は、ジャッキー・チェンが早々とパーティを開いたのだそう。 |
ガラス張りの天井から陽の光が降り注ぐ最上階のカフェスペースは、上海とは思えないヨーロピアンな雰囲気。アールデコ調の廊下も目にまぶしい。こちらでは、14時半から17時の間、アフタヌーンティが楽しめ、128元(約2000円)と488元(約7000円)の2セットから選べる。後者はシャンパン付きなので、ウィークエンドのブランチを優雅に頂くのも、通な上海の楽しみ方である。 |
カフェスペースの明るさとは打って変わって、フレンチレストランは大人のムード。ブラックシャンデリアと壁一面に飾られた蝶の標本が、優等生的高級レストランとは一線を画したフェティッシュな印象を醸し出す。コースは、通常メニューのほか、最高級が3000元(約5万円)というハイエンドな内容。ワインリストも充実している。 |
一軒でいくつもの顔を見せ、アッパークラスや外国人客も多い「蘭会所」は、今、一番エッジの効いたエキサイティングな上海の夜を体験させてくれること間違いない。 |
取材・文/石崎梨枝
編集/似鳥陽子
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