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» 2008年11月21日 11時30分 公開

一眼レフの生きた歴史、ASAHI PENTAX SP/SPF-コデラ的-Slow-Life-

現在の一眼レフの基礎を築いた1964年登場の「PENTAX SP」と、それから約10年後に発売された開放測光搭載モデル「PENTAX SPF」。この2つのPENTAXボディを“ニコイチ”にする修理を行ってみた。

[小寺信良,ITmedia]

 M42マウントレンズが使えるボディは、これまで「ZENIT-E」「Edixa Reflex」を入手してきた。レンズは日本で入手しやすい、PENTAXの50mmが2本ある。

 ボディで残念なのは、せっかくPENTAXのレンズにはAUTOモードがあるのに、常に絞り込みでしかファインダが見られないことである。AUTOとは言っても、単にフォーカスを合わせるときは開放で、シャッターと同時に絞ってくれるというだけのことだ。だが絞って撮るときにはファインダの絵も一緒に暗くなってしまうので、フォーカスが合わせづらいのである。

 やっぱりPENTAXのボディを一つ押さえておくか、ということにした。M42マウントのPENTAXは、中古市場でも数が豊富で入手には困らない。もちろん完動品も多いのだが、ジャンクもまた山のようにある。

 一眼レフの元祖はExaktaとされているが、これはミラーがクイックリターンではない。クイックリターンの一眼レフを最初に作ったのが、ASAHI PENTAXで、1957年のことであった。

 その後PENTAXの一眼レフは、1964年のSPでTTL測光となり、世界中で大ヒットとなった。60年代といえば、まだカメラ界はLeica M3などのレンジファインダ機が主役の時代である。現在の一眼レフの基礎を築いたのが、PENTAX SPであった。

 その約10年後、1973年に発売されたPENTAX PSFは、対応レンズを使えば、アイリスを実際に絞らなくてもTTL測光できる「開放測光」を搭載したモデルであった。ただし従来レンズを使えば、これまでどおりの絞り込み測光である。

10年を隔てたボディ


photo ずいぶん前に入手したが手つかずだったPENTAX SPF

 入手したのは、PENTAX SPとPENTAX SPF。PENTAX SPFは、すいぶん前に入手したものだが、手が付けられずそのままになっていた。外装部は綺麗だが、巻き上げ動作が完全にスタックしてしまっている。プリズムは綺麗だが、同じく露出計が動かない。

シャッタースピードは最高1/1000で、ISO感度は最高3200である。シャッターの周りにロック機構が付けられている。フィルムサプライ側は、一見何かの設定のように見えるが、実はフィルムの種類をメモするだけのリマインダだ。枚数は20と36しかないのが時代である。


photo シャッターにロック機構が付いている

 そう、フィルムは昔36枚撮りが基本で、短いやつは20枚撮りだったのである。ところが76年にサクラカラー(小西六/Konica)が、同じ値段でお徳用として24枚撮りというのを出してヒットした。他社も追従し、それがいつのまにかスタンダードになったものである。

 この話には続きがあって、レンズ付きフィルムは自分でフィルムを装填する必要がないことから、のりしろ部分まで撮影できる。したがって24枚フィルムの長さで27枚撮影できる。今度はまたこれがスタンダードになってきて、単体売りのフィルムでも27枚撮りというのが登場した。


photo フィルムのリマインダは「20」

 もう一つのSPは軍艦部の汚れがひどく、別途アクセサリーシューを取り付けた傷が深く残っている。プリズムにもシミがあり、そのまま使用するには辛い。露出計は動いていないが、シャッターなどのメカ部分はきちんと動いている。

 双方を見比べてみると、約10年で露出の方法は大きく進化してはいるものの、構造やサイズなどはほぼ同じである。これなら双方のいいとこ取りをして動かせるのではないか。


photo 右が傷だらけのSP。この間に約10年の歳月が流れているが、見た目は一緒

 というわけで、メカ部が完動しているSPをベースに、露出計の修理とプリズムの交換、軍艦部の交換を行なってみる。幸いにしてPENTAX SPは、修理の入門モデルとして多くの解説書やサイト情報が揃っている。露出計もシンプルな回路なので、丹念に追っていけばなんとかなるだろう。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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