今回試乗した3リッターのX3 xDrive30iは、車両重量1830キロというウェイトを32.1kgm/2750rpmという高トルクでグイグイ引っ張る力強いモデル。同社が誇るフルタイム・インテリジェント4WDシステム「xDrive」を搭載し、オンロードから雪道までシームレスな運動性能を提供してくれる。
さて、かつて20代の頃は寝る間も惜しんでスキーに出かけていた筆者。志賀や上越の雪深いエリアを好んで選び、雪の関越自動車道で軽くスピンしたり、下山中にチェーンがブレーキホースを切断してサイドブレーキだけで山岳道を下ったという“若気の至り”的な経験から雪道の怖さは十分理解しているつもりだ。
今回の試乗日だが天気予報では低気圧が接近、山間部では雪とともに強風にも注意というあいにくの悪天候の知らせ。普段ならここでちゅうちょするところだが、今回はなんといってもX3という心強い味方がついている。
「いざ万座へ」と意気揚々と出かけたものの、昨今の地球温暖化の影響かどうか分からないが、2月初旬の厳冬期だというのに路面に雪が見当たらない。やや肩透かしな思いと同時にどこかほっとしながら、高速道路や山岳ワインディングでX3の走行性能を確かめる。今回はスタッドレスタイヤ装着というハンデがありながらも、関越自動車道での高速レーンチェンジや山道でのコーナーリングは“SAV”X3の独壇場。路面にピタッと吸い付くようなドライビングフィールを楽しみながら走行していたら、あっという間に浅間山・白根山など2000メートル級の山々を望む万座ハイウェーに到着した。
西武鉄道グループの行き届いた道路管理でしっかり除雪・圧雪された万座ハイウェーの路面は、普通に雪道対策をしているクルマなら走行できるようになっている。だが普通のクルマは、あくまでも“走行できる”レベルで細心の注意を払う運転が求められる。一方、今回試乗したX3は、この雪道を“アグレッシブに楽しむ”ことができるのだ。その違いは、雪道を走り出してすぐに分かる。
標高が高くなるにつれ、雪が深くなる万座ハイウェー。外気温もみるみる下がり、ところどころでアイスバーンになっているという最悪な路面状況を、X3はまるで乾いたアスファルトを走るがごとくトラクションを失うことなく駆け抜けることができる。おそらく、見えないところで悪路との戦いを繰り広げているのだろうが、xDriveのおかげでそれを運転者が意識することはまずない。ラグジュアリー感あふれる車内では、家族が談笑しながらお茶を飲んだり、窓に張り付いた雪の結晶を見て喜んでいる。この走りこそ、プレミアムSUVを選ぶ真骨頂だろう。
X3はラインアップとして最高218馬力を発生する2.5リッター直列6気筒エンジン搭載の「X3 xDrive25i」と、最高272馬力を誇る3リッター直列6気筒エンジン搭載の「X3 xDrive30i」の2モデルが用意されている。BMWの代名詞“シルキー6”の最新パワートレインは、マグネシウム−アルミニウム合金製クランクケースを使用することでエンジン重量を軽減、わずか165キロという重さでBMWのアイデンティティである「50:50」の前後軸重量配分の実現に貢献している。
今回試乗した3リッターのX3 xDrive30iは、トータル492キロメートルの走行でガソリン消費量は55リットルとリッター約9キロの燃費を記録した。約300キロメートルの高速道路走行を含むとはいえ、エコ運転などまったく考慮せずにアクセルをガンガン踏んでいたり、帰りの関越自動車道の半分は渋滞であったことを考慮すると、大排気量SUVとしてはかなり優秀な燃費。高効率な直列6気筒エンジンのなせるワザだろう。故障が少なく信頼性の高いパワートレインをトータルで考えると、X3は非常に経済的な選択といえるかもしれない。
最後に、大事な家族を事故から守る「安全性」についても注目してみたい。日本でも全座席シートベルト義務でようやく注目されるようになった「後席の安全システム」だが、いまだにシートベルトが2点式だったり、中央の席のシートベルトが無かったりといったケースも少なくない。
X3に標準装備の「レストレイント・システム」では、“リヤシートにも3つのヘッドレストと3つの自動シートベルトを装備。衝撃力に応じて拘束力を制御するベルト・フォース・リミッターや、衝撃を感知した瞬間にシートベルトの張りを強めて身体をホールドするベルト・テンショナーなど、先進機能の数々を備えたシートベルト、ヘッドエアバックなどで“すべての乗員を最大限に保護する”ことを徹底している。
プレミアムコンパクトSUVを選ぶ上で重視すべき「プレミアム性」「コンパクト性」「走破性」「経済性」「安全性」の要素。これらプレミアムコンパクトSUVの条件をすべて兼ね備えた"唯一無二の選択肢"が「BMW X3」だ……、というのはちょっとほめすぎだろうか。
いずれにしても“こだわりの大人”に今一番オススメの1台であることは間違いない。
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