シュワちゃんタイプ「T-800」も登場!?――「ターミネーター4」、リチャード・J・ランドン氏インタビュー+D Style News

» 2009年03月19日 09時00分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo 「ターミネーター4」は、6月13日より全国ロードショー。6月6日(土)・6月7日(日)に先行上映が決定している。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給

 映画「ターミネーター4」の公開を6月に控え、東京・青海にある日本科学未来館で3月19〜6月28日の間「ターミネーター展 戦いか、共に生きるか?〜ロボットとボクらの未来〜」が開かれる。同シリーズの撮影で使用された衣装やロボットを公開しながら、ターミネーターの歴史を振り返る展示内容で、制作の過程や秘話も知ることができる。

 今回の展示にはターミネーター4のコーナーも設けられ、メイキング映像や、登場するロボットを一足先にチェックすることも可能だ。また、現代のロボット研究を紹介するコーナーも設けられており、劇中でターミネーターが現代に送り込まれる2029年までに、現実の世界の技術がどのように進歩するかを予想したロードマップも紹介される。

 同イベントに合わせて、ターミネーターシリーズ全ての制作に関わったSFXスタジオ、レガシー・エフェクツのキー・メカニカル・デザイナー、リチャード・J・ランドン氏が来日。同氏のインタビューとともに、本日公開の展示物を少しだけ紹介しよう。

長い行程を経て作り上げられるプロップ

photo ランドン氏

 ランドン氏が所属するレガシー・エフェクツ、旧スタン・ウィンストン・スタジオは、さまざまな有名映画の特殊効果演出を担当してきた。彼自身もターミネーターシリーズに加え、「ジュラシック・パーク」や、「A.I.」、近年の作品では「アイアンマン」などを手がけている。

 SF映画の撮影に使われるロボットや宇宙船などの模型──プロップの制作は、クリエイティブデザイナーが台本を読むことから始まる。彼らが、作る必要のあるものの一覧を作り、アーティストたちがそれをもとにデザインのコンセプトを考え決定する。その後、ランドン氏のようなメカニカルデザイナーが、動きのリアリティーや、動きやすくするにはどういう構造がいいかをメカニックの観点から考え、アーティストとともにデザインを作り上げる。その完成後には、パーツごとに分けて粘土の模型や3DCGを作り、部品の制作を依頼する。最終的にそれを組み合わせて1つの作品として成り立つように調整を行う。

 SF作品を楽しむ時、ストーリーや演出はもちろんのこと作品のリアリティーもポイントになるだろう。もちろん登場するプロップもその演出を担う重要な要素だ。リアルさを実現するためには何が必要か。ランドン氏はそれを「動きの柔軟さ」と「耐久性」だと話す。

photophoto ターミネーター展で展示される「T-800」(左)と「T-600」(右)

 彼らのスタジオでは、パーツごとに分けて動きの柔軟さをチェックし「アームに油圧ポンプを使う」などの細かい工夫を凝らすという。耐久性に関しては驚きのエピソードも存在。新作では、シリーズ第1作に登場したターミネーター「T-800」の前モデル「T-600」が、至近距離からマシンガンで打たれるシーンがあるのだが、その撮影には実際のマシンガンを利用したという。実弾は使わずとも至近距離で撃たれれば、T-600の無事が心配にもなるだろう。「前もって台本を読ませてもらうことはないので、まさかT-600が近い距離からマシンガンで撃たれてしまうなんて思っていませんでした。でも耐久性という意味ではクリアしていますので、不安はありません。やはり、そういう強固なものをきちっと作り上げていきたいですね」(ランドン氏)

シュワちゃんは登場するの?

photo ターミネーター展で展示される「Hydrobot」

 これだけの行程を経てプロップ、ロボットたちは制作される。制作者としても思い入れは深いだろう。ターミネーターシリーズすべてにかかわってきたランドン氏の“お気に入りプロップ”は、ターミネーター4に登場する水中を移動する蛇のようなロボット「Hydrobot(ハイドロボット)」とT-600だという。「Hydrobotは、わたしは操作しかかかわっていないのですが、すごく好きですね。T-600は、作っていてとても楽しかった。とてもいいパペットに仕上がっていますし、とても挑戦的な仕事でした」

 T-600の制作を“挑戦的”だと言うには訳がある。というのも、T-600は、20年以上も前に撮影した第1作のT-800よりも“古い”世代のロボットという設定だからだ。「技術は進歩しているのに、それに逆らった方向に制作をするのはとてもチャレンジングでした。新しい技術を取り入れながら、昔風の品質的にも劣っているようなものを作り上げていかなくてはならない。それが少し大変でしたね。ただ、コンピューターテクノロジーが発展したおかげで(プロップたちの動きは)正確で繊細、スムーズな動きになっています」(ランドン氏)

 ところで、T-800といえば、思い浮かぶのは現カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツネッガー氏。新作に彼は登場するのだろうか……? 「どれぐらいアーノルドを映画に取り入れるかは、現在検討中。T-800は劇中で使われていますが……」と、ランドン氏は意味深な回答。「いろいろウワサはありますが、何が本当で何がうそかは僕にも分かりません。ただ1つ分かっているのは、エンディングがまだ全然決まっておらず、3日おきに内容がころころ変わっているという事だけです。マックG監督はいい意味でクレイジーなので(笑)」と、ラストシーンの難航について触れる場面も。「これまでは、ターミネーター2が一番好きでした。ただ、まだターミネーター4は見ていないのですが、わたしが一番好きになフィルムになってほしいです」(ランドン氏)


photo T-800(左)と高田延彦氏(右)

 ターミネーター展開催前日に催されたプレス向けの内覧会には、元格闘家の高田延彦氏も登場。「ファイターとしては白旗」とプロップの迫力について語っていた。会場には、T-800のフルサイズフィギュアや、皮膚が付いていない骨格だけのT-800のエンドスケルトンロボット、ランドン氏のお気に入りのHydrobot、新登場の「MOTO TERMINATOR」、T-600が展示されている。ファンの皆様は、ターミネーター4公開前の予習・復習として訪れてみてもいいかもしれない。

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