著者プロフィール:神尾 寿(かみお・ひさし)
IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを勤めている。
トヨタ自動車の「プリウス」が、破竹の勢いで売れている。
受注台数は13万台を超えて、5月の国内新車販売ランキングではトップを記録(関連記事)。今から予約しても納車は秋口になる模様であり、今や“欲しくても買えないクルマ”になっている。トヨタ系列のディーラーには予約注文だけでなく、キャンセル待ちのリストがあるそうだから、その人気ぶりはすさまじい。クルマ離れなどどこ吹く風だ。
一方、本田技研工業(ホンダ)の「インサイト」も依然として好調だ(関連記事)。4月の販売台数ランキングではトップ、5月のランキングではプリウスに首位を譲ったが、依然3位を守った。今、国内新車市場にハイブリッドカー旋風が吹いている。
そのような中で、トヨタ自動車はハイブリッドカーラインアップの充実と販売強化に拍車をかける。今年4月には高級ブランドであるレクサスのSUV「レクサス RX」のハイブリッド仕様車「RX450h」を投入。さらに米国ではレクサス向けのハイブリッド専用車となる「HS250h」を発表した。前者は高級SUVのハイブリッド仕様ということでガソリン車より100万円ほど高くなる600万円前後となるが、後者のHS250hはプリウス同様にハイブリッドカーの本格普及を狙い400万円前後からの価格設定になる模様だ。
世間では「プリウスVS. インサイト」が注目されているが、ハイブリッドカーのラインアップ拡大は着々と進み始めている。そこで今回の時事日想は特別編として、最新の「レクサス RX450h」の試乗レポートを交えながら、プリウス、インサイト以外のハイブリッドカーの世界に目を向けてみたい。
車体が大きく、オフロード走行も視野に入れているからシステム重量が重い。しかも豪華で、快適装備も充実している。高級SUVというのは、どこをどう見てもエコカーとはほど遠く感じる。ガソリン価格はひところより値下がりしたものの、高級SUVに乗ることが後ろめたく感じるご時世だ。
そのような中で登場したレクサス RX450hは、高級SUVに乗る“後ろめたさ”をハイブリッド機構で軽減してくれるクルマだ。
先代である「ハリアー・ハイブリッド」ではモアパワーのために使われたハイブリッド機構のコンセプトが、レクサス RX450hでは燃費重視に一転。レクサス初のV6 3.5L アトキンソンサイクルエンジン※にハイブリッドシステムを組み合わせた。さらにエンジニアリング的な部分に目を向けると、エンジン内のエネルギー損失を軽減する「クールドEGR(廃棄ガス再循環システム)」や、冷寒時の暖気時間を短縮する「廃棄熱再循環システム」、小型・軽量化した高効率モーターの採用など、新型プリウスでも採用されている燃費向上技術を数多く搭載している。このようにレクサスRX 450hは、「高級SUVだけど、エコ」を本気で目指した作りになっている。
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