普通に使いやすい絞り優先カメラ:-コデラ的-Slow-Life-
接点洗浄&クリーニングで撮影可能になったOM-2 SP。手持ちの50mm/F1.8だけではもの足らず、ワイド系レンズ探しに。かなり“ジャンク”な純正28mm/F3.5とともに見つけたVivitar35mm/F2.8が、無難ながらも風景撮りには使いやすいレンズだった。
さてそんなわけで、接点の洗浄とクリーニングを終えたOM-2 SP。すでにレンズは50mmが2本ある。OM-10では、マニュアル撮影も露出補正もやりにくかったので、ほとんどフルオートのようなものだった。レンズの本当の実力に対して、十分ではなかっただろう。
最初に買った50mm/F1.8を付けて、いくつか撮ってみた。絞り優先で露出を出したあと、1段調整するといったことはやりやすい。やはり補正ダイヤルが普通に機能するというのは、いろいろ考えて撮ろうという気になるものだ。
逆光気味の絵柄はマニュアルモードで、ファインダ左に表示される露出計を睨みつつ、適当に案分しながら撮った。クールなタッチのレンズだが、冬の寒空ではそれらしい凛とした空気感が表現できる。
露出計はそれほど見やすくはないが、バックライトがあるので助かる。ただマニュアルモードの露出計は、単に適正に対してどれぐらい振れているかぐらいしか分からない。つまりファインダを覗いたままでは、今絞りやシャッタースピードがいくつなのか分からないのである。OM-2 SPは初めてプログラムAEを搭載したOMだが、このあたりから徐々にマニュアル離れが起こってきたのだろう。
さて、いつまでも50mmで撮っていてもつまらないので、もう少しワイド系のレンズを探しに出かけた。西新宿で見つけたのが、純正の28mm/F3.5と、Vivitarの35mm/F2.8だ。今でこそ35mmなどは標準レンズだが、昔はややワイドだったのである。
しかしこの28mmのレンズはもともとジャンクではあったのだが、ついレンズの綺麗さに見とれて買ったのが失敗だった。マウント部のネジなしということだったが、ネジぐらいはいくらでも揃う。だがこれは中味まで酷かった。かなりいい加減に分解して組み立てたものらしく、中味のネジまでほとんどなかった。
ヘリコイドの部品も欠品していて、フォーカスも合わない。ただレンズは破格に綺麗なので、そのうち同型のカビ玉でも探してきて、ニコイチしてみよう。
無難な描写のVivitar35mm/F2.8
一方Vivitarの35mmは、特に問題なく使えるようだった。絞りの形が綺麗で、8角形だが羽根の1枚1枚がゆるいカーブを描いているため、円形に近い絞りである。OMのサードパーティ製レンズはそれほど数があるわけではない。特にVivitarは、ちょっと珍しいのではないだろうか。
Vivitarについて少し調べてみた。そもそもドイツ人が米国で起業したカメラブランドだが、ここは製品企画と設計だけをやる、いわゆるファブレスのメーカーのようである。かつてはVivitarブランドのカメラもあったが、これは日本の「コシナ」のOEMであったそうである。今もVivitarは健在(http://www.vivitar.com/)だが、最近は台湾や中国製のデジカメやMPEG-4カメラなどを自社ブランドとして出しているようだ。
改めて購入したVivitarのレンズを見てみると、これもMede in Japanの文字が見える。もしかしたらこれも、コシナ製なのかもしれない。実際に撮影してみると、それほど個性のある写りはしない無難なレンズだが、風景撮りには使いやすい。
ただ近景は、最短で40センチまでしか寄れないので、若干散漫な印象になる。1テーマに絞って撮るなら、やっぱり50mmぐらいが一番使いやすい。
小寺 信良
映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。
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