富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X10」は、アナログカメラのたたずまいと最新デジタル技術の融合というX100に通じるイメージを引き続き具現化しながら、利便性を高めるズームレンズを搭載。あわせてX100より小型化を進めることで携帯性も高めた製品だ。
正直なところ、実物を見るまではちょっとクラシックな感じの普通のカメラだろうと思っていた。だが実物を手にしたところ、コンパクトなボディに凝縮されたオールドデザインが見事だと感心した。ボディとトップカバーの2ピース構造、ズームリングやモードダイヤルなどの細かいローレットが、まるでミニチュアカメラのような凝縮感を演出している。X100ではデザインコンセプトにそぐわないように感じた側面のAFモード切替スイッチはX10ではロータリースイッチとなり、よりカメラらしいデザインとなった。
コンパクトなこともあり、背面も間延びせず、上手に落とし込んだ印象。いわゆるオールドカメラデザインはレンズを中心に構成される前面にこそ分かりやすく機能するが、液晶ディスプレイやボタンなどの操作系が必要な背面は、どうしてもコンパクトデジタルカメラのようになってしまいがちである。その点、X10はシボ革の素材感とシンプルな色構成で落ち着きのあるデザインとし、高級感を保っている。
操作系をチェックする前に、ひとつお恥ずかしい話を。まったくの予備知識なしにX10を手にしたところ電源ボタンを見つけられず、かなり焦ってしまった。「コンパクトデジタルカメラ=電源ボタンを押して電源ON」という先入観がそうさせてしまったのだが、X10の電源スイッチはズームリングを回してレンズを繰り出すと電源が入る仕組みとなっている。
光学式手ブレ補正を搭載した、35ミリ換算28〜112ミリ F2.0-2.8「フジノン」レンズの操作は、この電源スイッチを兼ねたズームリングで行う。ズームリングは適度な重さがあり、操作感は悪くない。ズームリングにトルク感があると、ゆっくり操作してしっかりフレーミングしようという気になるから不思議だ。レンズ鏡筒は、電動繰り出し式のように軽く作る必要がないので、しっかりとした作りとなっている。
本体上部には、モードダイヤルと露出補正ダイヤルが設けられている。モードダイヤルには一般的なP/A/S/Mのほか、オートモードやEXRモードなど初心者でもきれいな写真を楽しめるモードが搭載されている。これだけダイヤルやボタンが多いと、機械が苦手な女性などからは敬遠されがちだが、カメラのマークに合わせてシャッターを押すだけと説明すれば良いのは助かる。
シャッターボタンには機械式のケーブルレリーズが使用できる。ケーブルレリーズが使えると言うことで長時間露光操作に期待してまったのだが、残念ながらシャッタースピード設定にはBULBはなく最長でも30秒までしかシャッタースピードは設定できない。露出補正ダイヤルはやや重めとなっており、簡単には回らないようになっている。
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