フラッグシップノートは“Z”だけじゃない――「VAIO F」実力診断:写真も動画もこれ1台(3/3 ページ)
多彩なラインアップを誇るVAIOノートのフラッグシップモデルといえば、高級モバイルの「VAIO Z」が思い浮かぶが、据え置き型で頂点に立つ「VAIO F」も見どころ満載だ。
手触りのよいサラッとしたパームレストが絶品なキーボード
キーボードはテンキー付きで、VAIOノートではおなじみとなったアイソレーションキーボードを採用している。ボディが大柄なだけにサイズには余裕があり、キーピッチは約19ミリ、キーストロークも約2ミリと打ちやすい深さを確保している。特に小さいキーは見当たらず、カーソルキーを一段下げるなどキーレイアウトも自然で使いやすい。レギュラーキーの右端とテンキーの左端の間は約8ミリと十分な間隔が空けられている。
キーボードユニットの固定はしっかりしていてたわみなどはなく、非常に安定感がある。キートップには微妙なくぼみがつけられているため指を置きやすく、スイッチの感触も安定感があって良好だ。86ミリと十分な奥行きがあるパームレストは前述の通り、エラストマー素材を用いており、ベトつかないサラッとした触感が実に心地よい。
各種ワンタッチボタンはキーボードの右上にまとめて配置されている。左から、ディスプレイのオフ、AV操作(再生/一時停止、停止、前、次)、ASSIST、S1、VAIOといった構成だ。ASSISTボタンはサポートソフトの「VAIO Care」、VAIOボタンはメディアプレーヤーソフトの「Media Gallely」を起動するためのもの。S1には任意のソフトウェアを割り当てられる。
キーボードの手前には2ボタン式のタッチパッドを装備している。アルプス電気製の多機能ドライバが導入されており、パッドの右辺/下辺を使った縦横スクロールのほか、パッドを弾くような動作でページ送りなどを行うフリックナビゲーション、2本指の開閉で拡大/縮小を行うピンチズームといったマルチタッチジェスチャー機能が標準で利用できる。82(横)×49(縦)ミリと十分な大きさがあるパッド部分には非常に滑りのよい素材が使われており、ボタンの感触もよく、操作は実に快適だ。
クアッドコア+NVIDIA GPUによる高いパフォーマンスを実証
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは右の画面で示した通りだ。標準的な回転数5400rpmの500GバイトHDDを備えていることから、HDDのスコアは「5.5」にとどまっているが、メモリは「7.4」、CPUは「7.0」と高いスコアを獲得しており、グラフィックス関係のスコアも「6.5」と健闘している。ノートPCとしては、非常に高いレベルの性能を持っていることが分かるだろう。
PC USER定例のベンチマークテストの結果にもその性能は現れている。PCMark05やPCMark Vantageを項目別で見ても弱点といえる項目がなく、さまざまな用途にまんべんなく対応できるパフォーマンスを備えている。
3DMark06のスコアはクアッドコアによるCPUスコアが有利に働いている部分もあるが、3Dゲームでも特別負荷の高いタイトルでなければ、設定次第でプレイできる水準にはある。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアは文句なしで、この程度のゲームであれば、快適にプレイできるのは間違いないだろう。
一方、動作音はあまり静粛とはいえない。アイドル時や低負荷時でもはっきりとファンの音が認識できるが、CPUやGPUに負荷がかかる処理ではさらにグッとモーター音や風切り音が上がる。
もっとも、発熱の処理は優秀な部類だ。室温23度の環境で一連のベンチマークテストを実行した直後に最も熱かったのは底面左の36度で、表面は32〜34度と、不快な熱を持つような部分はなかった。
なお、VAIO Fのパフォーマンスについては、こちらの記事(「VAIO F」2010年春モデル3台で検証:モバイル向け新Core iシリーズのCPU性能をじっくり調べてみた)でCore i7/i5/i3搭載モデルの詳しい比較を行っているので、併せて参照してほしい。
クリエイティブユースに最適な据え置き型VAIOノート
2010年4月6日現在、VPCF119FJ/BIの価格は大手量販店で24万円前後で推移しており、20万円を切る価格で販売している安売り店もあるようだ。
クアッドコアCPUとNVIDIA GPUを搭載するパフォーマンスに加え、Adobe RGBカバー率100%のフルHD液晶ディスプレイやダブル地デジチューナーを備えていること、さらにOffice Personal 2007やVAIOオリジナルの多彩な編集ソフトに加え、アドビシステムズのクリエイティブツール一式もプリインストールされていることを考えると、相当買い得といえるのではないだろうか。
さらにソニースタイル直販のVAIOオーナーメードモデルでは、用途に応じて仕様を絞り込んだり、逆に店頭モデルを上回るハイスペックな構成で購入することもできる。例えば、クアッドコアCPUのCore i7-820QM(1.73GHz/最大3.06GHz/3次キャッシュ8Mバイト)、最大8Gバイトのメモリ、最大512GバイトのSSDや最大640GバイトのHDD(5400rpm)、64ビット版のWindows 7 Ultimate/Professionalなどが選択可能だ。
また、環境光センサーに連動したバックライト付きの英字キーボード、直販限定ボディカラーのグレー、オリジナルメッセージの刻印サービス、外部機器とのワイヤレス接続を想定した近距離無線転送技術「TransferJet」、アドビシステムズのプロ向け総合クリエイティブスイート「Adobe Creative Suite Production Premium 4」といったメニューも取りそろえている。
これから本格的に写真やビデオの編集に取り組んでみたいユーザーにとって、VAIO Fはピッタリの1台だろう。
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