「FUJIFILM X-E2」第2回――江ノ島でとらえる冬の風景:長期試用リポート
江ノ島はなにも夏だけの場所ではない。冬には冬の魅力がある撮影地だ。FUJIFILM X-E2とXレンズで、冬の江ノ島の風景をとらえてみた。
前回、FUJIFILM X-E2一式を手にして「たくさん歩けそう」と、書いたがあまり歩かなかったので、今回はモデルとともに相模湾は江ノ島周辺をブラブラと撮り歩いてみた。小田急江ノ島線・片瀬江ノ島駅からスタートして、冬の風景をX-E2でとらえることにした。
やはり海沿いは内陸と違って暖かい。風は若干あるものの気温は少しポカポカとしている。海辺ではサーフィンやボート、ビーチコーミングなどを思い思いに楽しむ人が結構いるものだ。そこで「XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」を装着して、防波堤をバックにスタンドアップパドルボードを狙ってみた。
コントラストは高いものの、波の反射がかなりきつい中、X-E2のAFは迷うことなく素早く合焦した。意外と早く進むパドルボートをしっかりと補足し続けていく精度もなかなかのものである。少し意地悪をして感度を上げてグッと絞り込んでみる。絞り込み時の回折ボケやレンズ周辺部のボケを補正するという「点像復元処理」を試すためだ。これも効果は上々で画面の四隅でもシャープで、解像感が低下していないように感じた。
海に面した高台にある神社で美しい銀杏を発見。そこで35ミリ換算21ミリ相当になる「XF14mmF2.8 R」にレンズ交換しパースペクティブをつけてモデルを撮影してみた。ワイド感が演出されたがイヤなゆがみがないので、背景を生かしたポートレート撮影にも使えるのがうれしい。何よりもフォーカスが合った範囲はとてもシャープで、それ以外の部分のボケ味がマイルドで上品だ。X-E2は日陰時のホワイトバランスも優秀で、モデルの肌の色味とトーンが美しく再現できているように感じる。
次にレンズを「XF35mmF1.4 R」にチェンジ。35ミリ換算で50ミリ相当になる画角だ。モデルに木漏れ日が顔に当たる部分に立ってもらい、絞り開放のF1.4で撮影した。このレンズはとても描写がよく、フォーカス面から徐々にとろけるようにボケていくスムーズな感じが気に入った。先ほどのカットと同じように、X-E2の肌の「生」な写り具合が秀逸だ。日が当たった部分からポッテリとしたモデルの唇あたりの描写がなんともいえない。
神社を出て漁港に差しかかった。どうやら水揚げされたばかりのシラスを天日干しにしているようだ。手早くシラスを均等に干している作業の様子をXF35mmF1.4 Rでシューティング。X-Trans CMOS IIセンサーはローパスレス構造なので、シラスの1匹1匹から女性の頭髪、着ているフリースベストのディテールまで克明に描き出してくれる。
おみくじが大好き、というモデルが神社で運試し。それをXF35mmF1.4 Rで撮影した。両目が被写界深度内に入るように絞りをF2に設定。少し色づいた冬の日差しが差し込む日陰の境内であったが、X-E2の優秀なホワイトバランスのお陰でイメージ通りの仕上がりになった。シャープさと柔らかさが同居する明るいカットとなった。おみくじは「末吉」でしたとさ。
江ノ島内でネコを愛で、富士山が見える磯にやってきた。さすがに夕方近くなると風が出てきて波が大きくなってきた。モデルに波がかかりそうな岩場に立ってもらう。時折強烈な風と波が襲ってくるのでこういう撮影では十分な注意が必要になり、何事もスピーディーに行わなければいけない。
XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OISを装着して、マニュアルで少しアンダー目に露出を設定する。ダイヤルを回してクリック感で設定値が直感できるのは、こういう被写体から目が離せない時に重宝する。左手にあるシルエットの岩の向こうで波が砕ける瞬間を狙ったが、シャッタータイムラグ0.05秒というレスポンスのお陰で確実にイメージをモノにすることができる。
寒風に吹かれたのでカフェで一休み。またまたXF35mmF1.4 RをX-E2に装着して絞りF1.4開放で撮影。向かって左の瞳にフォーカスしてシャッターを切った。黒い瞳に写るのはカフェの窓。その窓に向こうに青い空が拡がっているのが分かるだろうか。瞳から徐々にデフォーカスしていくその柔らかさは、本機の描写の柔らかさを裏付けるものであろう。濡れたような黒い前髪の質感、ほのかに消えゆくようなもみあげと、モデルの特徴的な耳たぶなど、画面を支配する「品」が何とも言えない。背景のボケも美しいではないか。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:井上明香 オスカープロモーション)
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