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SAPジャパン 藤井清孝社長 R/3からCRM,SCMへ,そしてポータル元年

ZDNet そのほか,大きな発表予定はありますか?

藤井社長
藤井 R/3 Enterpriseの登場です。これで,完全にWeb対応のアーキテクチャに移行し,CRMやSCMなど,ほかのソリューションとの親和性が良くなります。いわばSAPが新しい境地を開拓するわけです。

 また,SRM(サプライヤーリレーションシップ管理)でもソリューションカットで語るビジネスを進展させます。われわれのe-プロキュアメント製品「Enterprise Buyer」をmySAP PLMソリューションと連携させてベストプラクティスを実現できると考えていますから。

 そしてわれわれが2002年から本格的に展開しようとしているのが,ポータルです。ERPは,ビジネスの現場をデータで捉えようという切り口でしたが,ポータルの導入で「すぐ行動できる」という付加価値が生まれます。ポータルによって,企業は本来のリアルタイム経営へと飛躍できるのです。

ZDNet 中堅企業向けのソリューション提供予定はありますか。

藤井 はい。社内には,日本におけるビジネスの知恵がかなり蓄積されています。これらを駆使して日本固有のニーズを満たした業界別ソリューションテンプレートを作り,中堅企業へと顧客の幅を広げたいと考えています。

 日本の外資系ソフトウェア企業は,ソフトウェアを売るだけといった商社的な役割が強いのですが,われわれは,日本で開発からテンプレート作成を行っていますし,直販も行っています。すべてお任せいただけることが,われわれの強みとなります。

ZDNet 一方で,多くのパートナー企業もありますね。彼らに求めることは?

藤井 企業のIT投資で最も多くを占めるのが,導入コンサルティングです。これは,決して顧客のためになりません。だからパートナーには,日本企業のためになることをやってほしいと望んでいます。具体的に言えば,「早く安く導入する」そして「やたらとプロジェクトを大きくしない」ということです(笑)。

 また,SEやITコンサルタントとして,業務を分かった上でソフトウェア導入プロジェクトのリーダーシップを取れるIT技術者を育ててほしいです。

ZDNet では,SAPジャパン社員に求めることは?

藤井 私は常々,「目線を高く,自信を持って,謙虚に」と言っています。われわれは企業をより良くする薬を売っているわけですから,目線を高くしなければいけません。しかし一方で,優れた業績を上げている伝統的な企業ユーザーを相手にするわけで,謙虚さも大切です。そして,SAPジャパン自身のシェアや財務状態,経営体制がしっかりしているのですから,自信を持って,安心して仕事をすることも必要ということです。

 最近になって,社員が自身の仕事に誇りを持つようになってきました。これだけ多くの日本企業がSAPを信頼して採用してくれるということは凄いことと身に染みてきたわけです。私は,昔からこの言葉を言い続けて来たのですが,最近になってようやく意味をなしてきたのかなと感じています。

ZDNet 最後に,2002年のビジネス目標を聞かせてください。

藤井 われわれは,さらに成長するためにSAPコンサルタントや教育リソースを増やし,社員も200人強増員する計画です。日本企業の投資意欲は,2001年と同じようなレベルで推移すると見ています。決して楽観的な市場ではありませんが,ソフトウェアで35%,サービスでは32%の伸びを目指します。

 カレンダー通りの年末年始休暇を,富士五湖周辺にある友人の家を借りて,家族でのんびり過ごした藤井氏。「富士山を見て,心を新たに頑張ります」とキメたが,「こういう機会に,ちゃんと家族サービスもやらんとね」と3児のパパの顔も。2002年の目標は,ゴルフの上達。常時100以下のスコアで回りたいと控えめだ。それから大食漢の広報,Tさんをチラリと見て,「あとはねぇ,体重の現状維持かな」と笑う。

[聞き手:井津元由比古 ,ITmedia]