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ボーランド 安藤由男社長 ワンストップソリューションカンパニーを目指すボーランド

2001年,社名をインプライズからボーランドに戻した同社は,常に最先端の技術と標準準拠を採用した製品を提供してきた。新生ボーランドは2002年に,単なる製品提供だけでなく,サービスも含めたワンストップソリューションカンパニーを目指すという。そこで,2002年の抱負について安藤社長に話を聞いた。

ZDNet ボーランドにとって2001年は,どんな1年でしたか。

安藤社長
安藤 私がボーランドの社長に就任したのが2000年11月で,1年余り経ったわけですが,この1年は売り上げ的にも昨年を上回る実績を残すことができ,良い1年だったといえると思います。実績も良かったのですが,さらに良かったのは,ボーランドが目指す次のステップに向けた足固めができたことです。

 2001年11月に開催した「Borland Conference 2001 Tokyo」で,今後はサービス事業分野に注力していくということをお話しましたが,2001年中にサービス事業分野に進出するための核となる人材を確保することができました。これで2002年初めより,サービス事業分野に本格的に参入することが可能な体制を確立することができたと思います。

ZDNet 2001年最大の出来事は,インプライズからボーランドに社名を戻したことだと思いますが,これにより何が変わりましたか。

安藤 顧客やパートナーの方々に,話を聞いた限りでは好意的に評価していただいたように思います。当時は,「ボーランドの方がネームバリューが高いし,なぜインプライズなのか良く分からない」という話をよく耳にしていました。以前よりボーランドとして慣れ親しんでいただいていましたので,インプライズという社名を聞いても「ピン」と来なかったのかもしれません。

ZDNet インプライズ前のボーランドと,インプライズ後のボーランドで何か違いはありますか。

安藤 過去のボーランドは,ツールベンダーとしては非常に成功した会社だと思います。TurboPascalやTurboCをはじめ,Borland C++,InterBaseなど,さまざまなツールを発表し,プログラム開発者の方々から高い評価をいただいています。インプライズになってからは,ビジジェニックを買収し,VisiBrokerを製品群に加えるなど,エンタープライズ分野への参入を実現しました。

 このエンタープライズという考え方は,新生ボーランドにも引き継がれていますが,新しいボーランドの最も大きな特徴は,冒頭にもお話した通り,製品の提供だけでなく,サービスも同時に提供することでです。

ZDNet エンタープライズ分野で成功できた要因はどんなところにあるのでしょう。

安藤 われわれは,早くからJavaに取り組んできました。現在,JBuilder製品を提供していますが,この製品の機能強化と世の中のJavaに対する需要がインターネットビジネス構築分野でうまくマッチしたのだと思います。エンタープライズシステム構築において,既にJavaは不可欠な存在になっています。

 Javaを通じ,われわれの製品がエンタープライズ分野に受け入れられたことは,われわれにとっても大きな自信となりました。また,「オープンスタンダードをより現場レベルで実現する」という,われわれの信念を評価していただいた結果でもあるでしょう。今後も,Webアプリケーション構築のための最先端のテクノロジーを提供していきたいと考えています。

 しかし,エンタープライズ分野の強化により,これまでのボーランドを育てていただいた個人プログラム開発者の方々を切り捨てたのかといえば,決してそうではありません。現在,有償で販売していたDelphiとJBuilderの「パーソナル版」を,Webサイトから無償でダウンロードできるようにしています。これは,パッケージ販売のあり方が時代とともに変遷してきたというわれわれの考え方の具現化であり,個人ユーザーの方々には,無償で利用してもらうというのがこの戦略の意図するところです。

 オープンスタンダードに準拠した開発ツール製品を,無償で広く提供することで,世の中に少しでも貢献していきたいという思いも込められています。

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[聞き手:山下竜大 ,ITmedia]